2019年6月
弾力線維性仮性黄色腫と鑑別を要した発疹性汗管腫の1例
日本皮膚科学会-大阪地方会・京滋地方会 皮膚の科学
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- 巻
- 18
- 号
- 3
- 開始ページ
- 151
- 終了ページ
- 156
- 記述言語
- 英語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
30歳代,女性。10歳頃より頸部,腋窩,鼠径部に無症候性の皮疹があった。20歳時に当院にて,左腋窩部の皮膚生検により弾力線維性仮性黄色腫(pseudoxanthoma elasticum,以下PXEと略す)疑いと診断されていた。2007年に再度紹介受診し,顔面,頸部,鼠径部,背部に無症候性丘疹が集簇しており,左腋窩からの再生検でPXEと診断された。眼科的異常はみられなかった。今回2017年2月新たに左側腹部,左下眼瞼に丘疹が出現したため当院を紹介受診した。側腹部および下眼瞼部黄白色丘疹の皮膚生検にて,いずれも汗管腫と診断した。1999年と2007年にPXE疑いと診断されていた腋窩部黄白色丘疹について再度皮膚生検したところ,汗管腫の所見であった。軽度の側彎症および臍ヘルニアを伴っていたため,Ehlers-Danlos症候群,Marfan症候群の可能性について検討を行ったが,いずれも否定的であった。本症例は,極めて広範囲かつ高密度に汗管腫が発症した発疹性汗管腫で,PXEの臨床像に酷似していた。皮膚をつまむと非常に柔らかいため,何らかの結合織異常を伴っている可能性があったが特定には至らなかった。(結語)発疹性汗管腫はPXEの鑑別診断の一つとして考慮すべきである。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 1347-1813