2010年2月
テキストマイニングを活用した財務報告実務の展開の考察-London and Birmingham鉄道会社の財務報告実務を中心に-
研究紀要(高松大学)
- 巻
- 号
- 52-53
- 開始ページ
- 39
- 終了ページ
- 70
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要)
本稿では,財務報告制度生成期の19世紀前半イギリス鉄道会社の財務報告実務を,テキストマイニングを活用して網羅的・客観的に分析した。具体的にはL&BRの報告書をテキスト化し,テキストマイニングソフトを使って頻度表を作成し,そこからキーワードを抽出し,それらを時系列分析した。会計史研究にテキストマイニングを活用すると,①抽出されたキーワードから各報告書の概要を確認できること,②キーワードの時系列分析から先行研究の主張の是非を確認できることがわかった。具体的には,先行研究が主張してきた「複会計システムは,資本的支出と収益的支出を区別するために存在した」という主張を裏付ける結果が得られた。さらに重要なことには,当時の会社が重要な問題だとして取り組んでいたにもかかわらず,先行研究が見過ごしてきた会計変化が存在することも確認できた。