共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2024年3月

多民族・多宗教国家マレーシアにおける移民の社会統合――宗教の互助機能に着目して

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
20H04408
体系的課題番号
JP20H04408
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
10,400,000円
(直接経費)
8,000,000円
(間接経費)
2,400,000円

本研究は、移民労働者が就労国で適正な労働・生活環境を獲得するうえで、就労国の国籍取得や、出自国を同じくする者同士の相互扶助という戦略のほかに、就労国の国民との文化的共通性を活用して、就労国の国民と関係を構築する生存戦略もあることを、多民族・多宗教国家であるインドネシア、ミャンマー、フィリピンから、同じく多民族・多宗教国家であるマレーシアへの移民・就労者の事例を通じて明らかにする。具体的には、これら3か国からの移民・就労者が、マレーシア国民の各民族内で互助機能を果たしてきた宗教を活用し、よりよい労働・生活環境を確保しようとすることに着目する。
2021年度も引き続き、文献調査およびオンラインでの聞き取り調査を通じて、①仏教系寺院・組織(華人と仏教徒のミャンマー人)、②モスク・イスラム教組織(マレー人とムスリムのインドネシア人、ミャンマー人、フィリピン人)、③教会・キリスト教組織(華人とキリスト教徒のフィリピン人)を対象に、(i)宗教施設・組織を通じてマレーシア国民と移民労働者との間に、冠婚葬祭サービスの提供をはじめ、国籍を越えた相互扶助が行われているのか、(ii)宗教施設・組織を通じた関係性が雇用関係など移民の経済的・社会的資本に変換されることはあるのか、あるとしたらそれはどのような関係性をマレーシア国民との間にあらたにもたらすのかを調査した。
国内研究会を3回実施した。南アジアや東アジアからの移民について研究している研究者や専門家も交えて、マレーシアの事例に基づく移民の社会統合モデル構築の可能性を検討した。移民研究では、グローバル経済に直結して生存を図る強い個人として移民に着目する視点がある。これに対してマレーシアの事例からは、国家、民族、宗教、地域などの枠組みを互助機能として活用しながら、グローバル経済に接続する側面に着目することができるとの視点を得た。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H04408
ID情報
  • 課題番号 : 20H04408
  • 体系的課題番号 : JP20H04408

この研究課題の成果一覧

講演・口頭発表等

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