共同研究・競争的資金等の研究課題

2005年 - 2006年

膀胱尿管逆流症におけるウロプラキンIIIの意義と尿中mRNA定量による検査法の確立

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17591673
体系的課題番号
JP17591673
配分額
(総額)
3,400,000円
(直接経費)
3,400,000円

ウロプラキンは、尿路上皮最上層でプラークを形成し尿路上皮表面の安定化や透過物質からのバリアーとして機能していることが推測されている、尿路上皮特異的に発現する膜貫通型蛋白質で、Ia、Ib、II、IIIと4種類の構成蛋白質が存在する。また、ウロプラキンは尿路発達の初期に出現するという観察から、尿路発達に重要な役割を持つことも示唆されている。われわれはヒトウロプラキンIII(UPIII)遺伝子クローニングを世界に先駆けて行ったがUPIII遺伝子ノックアウトマウスにVURが単独発生するとの報告をきっかけにUPIII遺伝子発現の異常に着目しで研究を開始した。まず始めに手術で得られたVUR20例と対照11例の尿路上皮組織でのUPIIImRNA発現量を定量的に解析した結果、VUR組織でUPIIImRNAが過剰発現していること示された。さらにこの実験過程で、完全型UPIIIの全6エクソンのうち、エクソン4(83塩基)を欠損したUPIII新規選択的スプライシングバリアント(UPIIIdelta4)を発見し、このUPIIIdelta4もVUR組織で過剰発現していることを見出した。UPIIIdelta4からは膜貫通部分とその下流めフレームシフトの結果、全長212アミノ酸残基(完全型UPIII蛋白質は287アミノ酸残基)の変異UPIII蛋白質が生じると推定される。次に、VUR患者尿21例と対照患者尿38例を対象に、尿中剥離細胞でのUPIIImRNAについて定量的解析を行った結果、尿でもVUR患者におけるUPIIImRNAの過剰発現を定量的に解析することができた。ROC解析から得られたVUR診断能は、感度77.8%、特異度76.3%であった。現時点で、非侵襲的なVURスクリーニング法は皆無なので、われわれが開発した方法の臨床的意義は非常に高い。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17591673
ID情報
  • 課題番号 : 17591673
  • 体系的課題番号 : JP17591673