論文

2007年12月

古建築の植物文様と動物文様におけるデザイン要素の追究-対数螺旋を通しての比較検討-

梅花女子大学 現代人間学部/梅花女子大学 現代人間学部紀要
  • 吉田 美穗子

4
開始ページ
75
終了ページ
88
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(大学,研究機関等紀要)
出版者・発行元
梅花女子大学

古い時代,人間が創造した建築物に文様を刻むとき,何らかのメッセージを込めたはずである。それは,建築物に住む側の人間にとっては幸せな毎日が送れるような,そんな祈願を反映した呪術的なものを制作したであろうとの確信から,古建築における文様の意匠をCADにより対数螺旋を用いて合成し,再現することにより読み解こうと試みた。古建築の植物文様において,対数螺旋は植物そのものを表現したり,または単純化されたパターンとなって繰り返したり,渦を巻いたり,植物文様の余白を埋めたりと,リズミカルに見え隠れし,永遠の生命を演出していた。それは見るものに華やかさを与え,植物文様を神聖視させ,永遠に見守られているという信念を抱かせるのに効果的なデザイン要素として,現代に至るまで引継がれ使用されているものであった。一方,動物文様に関して,動物が文様として用いられる時,それは植物以上に何か意味があったのではないかと考え,植物文様と同じ方法で動物文様を検討。その結果,動物文様における対数螺旋は自ら発する力により見るものを元気付け,生きていることの喜びを共感させながら毎日の生活に息吹を吹き込むのに効果的なデザイン要素として,現代まで引き継がれ使用されているものであった。対数螺旋がその使用目的に応じて使い分けられ,デザイン要素として今日に至るまで使用されていることを明らかにした。

リンク情報
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/110007014524
CiNii Books
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AA12014493
URL
http://id.ndl.go.jp/bib/9406812
ID情報
  • ISSN : 1349-9769
  • CiNii Articles ID : 110007014524
  • CiNii Books ID : AA12014493

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