2021年4月 - 2024年3月
血清αシヌクレインシードに着眼したシヌクレイノパチーの病態解明と新規治療法の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
パーキンソン病および多系統萎縮症はα-シヌクレインの異常蓄積が原因となるため、シヌクレイノパチーと呼ばれる。中枢神経のみならず、全身の末梢神経にも蓄積を認めることから全身にα-シヌクレインの凝集が引き起こされることが予想される。α-シヌクレインの凝集はβシート構造をとる異常凝集型になると正常構造を異常構造へ変換し凝集の連鎖が生じることが重要であると考えられている。この凝集を引き起こす原因となる凝集型α-シヌクレインをシードと定義し、このシードをRT-QuIC法を用いて血液から検出されることを見出し、本研究を立案した。R3年度はRT-QuICにより得られたα-シヌクレインシードを電子顕微鏡で詳細に観察し、病型により構造が異なることを確認した。多系統萎縮症ではα-シヌクレイン繊維の太さがパーキンソン病と比較してより太いことを確認した。さらに、GFP-A53T変異型α-シヌクレインを安定発現する細胞にこのシードを導入するとα-シヌクレインの凝集体を形成するが、この形状についても病型によって異なっていた。具体的には多系統萎縮症患者から得られたα-シヌクレインシードを導入するとパーキンソン病のものと比較してより密度の高い凝集体を形成していた。そして、電子顕微鏡と細胞アッセイとを用いることで、感度・特異度高く多系統萎縮症とパーキンソン病を鑑別できることを確認した。また、患者剖検組織についてα-シヌクレインシードを探索したところ全身臓器から検出できることを明らかにした。パラビオーシスモデルの作成に成功し、血液浄化モデルになりうることを確認した。
- ID情報
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- 課題番号 : 21K07424
- 体系的課題番号 : JP21K07424