2011年 - 2012年
DJ-1 の膜輸送に関する研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 若手研究(B)
パーキンソン病はドパミン神経細胞が変性し脱落する,変性疾患である.多くの遺伝的素因などが関係しているが,詳細なメカニズムについては不明な点が多い.本研究では常染色体劣性遺伝性パーキンソン病の原因である DJ-1 蛋白の詳細な細胞内局在を検討した.DJ-1 は細胞質だけでなく顆粒状に局在する事が明らかかとなった.詳細に検討すると一部は Golgi 装置,シナプス小胞に局在を認めることが示された.シナプス小胞に局在している DJ-1 に関して immunoisolation 法を用いて検討したところ,Rab-3A および synaptophysin と同じ局在を示した.さらに,Forster resonance energy transfer 法を用いて living cell における DJ-1 と synaptophysin との機能について検討したところ,一部は相互作用している事が示された.また,シナプトソームおよび培養細胞の膜を精製してリコンビナント DJ-1 を用いて膜と DJ-1 との結合に関して検討した.正常型 DJ-1 は蛋白を介さず膜へ直接結合しているが,病的変異体である L166P は膜結合能が低下しており,これによりパーキンソン病を発症している可能性が示された.今回の結果より,DJ-1 は膜輸送に関与していることが明らかとなった.
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- 課題番号 : 23700389
- 体系的課題番号 : JP23700389