腫瘍微小環境内で腫瘍細胞におけるprogrammed death ligand-1(PD-L1)発現がどのように上方制御されているのか明らかにするため、インターフェロン(IFN)-γに着目し、in vitro実験系や臨床検体を用いて実験を行った。30種の細胞株を用いたin vitro実験の結果、固形腫瘍細胞株においてIFN-γはJAK/signal transducers and activator of transcription(STAT)シグナル伝達経路を介してPD-L1発現を上方制御させ、腫瘍抗原特異的細胞傷害性T細胞が腫瘍細胞に対して示す細胞傷害活性を障害した。また一連の固形腫瘍細胞株において、腫瘍細胞表面上のPD-L1発現が上皮間葉転換表現型と有意に相関していることも明らかになった。胃癌臨床検体では、腫瘍の細胞膜におけるPD-L1発現が、間質組織中のCD8陽性T細胞の存在や腫瘍内のIFN-γ発現と有意な正の相関を有することが示された。CD8陽性T細胞の浸潤が高度にみられる胃癌患者は、抗programmed death 1または抗PD-L1モノクローナル抗体治療に対してより良好に反応することが示唆された。