放射線照射による"アブスコパル効果(abscopal effect)"に注目が集まっている。これは、照射された腫瘍のみならず、照射範囲の外にある他の腫瘍が退縮する現象であり、照射による抗腫瘍免疫の活性化が主たる要因と考えられている。一方、殺細胞性の抗がん剤や、放射線照射により抗腫瘍免疫が活性化するメカニズムが近年解明されており、その過程でHMGB1が重要な役割を果たしていることが分かってきた。本稿では放射線照射による免疫活性化のメカニズムとアブスコパル効果、その治療応用について解説する。(著者抄録)