今回、non-bulky子宮頸癌に対し、標準的な根治的放射線治療に中央遮蔽原理を導入した強度変調回転照射療法(VMAT)の実行可能性について検討した。標準的な中央遮蔽により照射野正中を遮蔽し、三次元原体照射法(3DCRT)もしくはVMATを行い、20Gyの全骨盤照射および30Gyの中心遮蔽骨盤照射を2Gyで分割照射した。また、コンポジット線量分布およびDVHパラメータについて、ファントムモデルによる基礎的検討と、ステージI-II子宮頸癌患者10例による臨床的検討を行った。その際、中央遮蔽照射の全骨盤臨床標的体積(CTV)は子宮体部と子宮頸管および腟を中心とする幅4cmの領域を減算して求めた結果、ファントムモデルでは、VMATプランにより、3DCRTプランに比べ、直腸や膀胱に対し過剰な線量なしに、PTVにおいて十分な線量カバーが得られた。一方、臨床例では、VMATプランにより、PTVにおいて、3DCRTプランに比べ、有意に良好な線量カバーが得られた。なお、VMATプランの直腸および膀胱のDVHパラメータでは、3DCRTプランより低く、腸ではVMATプランのV30Gy、V40GyおよびV50Gyにおいて、3DCRTプランよりも有意に低値が観察された。以上の結果から、VMATは中心遮蔽原理を導入することにより、早期子宮頸癌の外部照射療法に適用可能となり、さらに、VMATにより小腸への線量が低減され、消化管毒性が軽減されることが示された。