太田 和夫


太田 和夫

J-GLOBALへ         更新日: 18/12/05 05:27
 
アバター
研究者氏名
太田 和夫
 
オオタ カズオ
URL
http://ohta-lab.jp/
所属
電気通信大学
部署
大学院情報理工学研究科、情報理工学域情報学専攻、Ⅱ類 (融合系)
職名
教授
学位
理学学士(早稲田大学), 理学修士(早稲田大学), 理学博士(早稲田大学)
科研費研究者番号
80333491

プロフィール

研究テーマ「暗号基盤技術の開発と安全性評価」

21年間企業で研究後、電気通信大学で教育・研究を進めている.

主たる研究内容と成果は
(1)証明可能安全な公開鍵暗号技術と暗号プロトコルの開発
(2)共通鍵ブロック暗号方式の研究開発と安全性評価
(3)ハッシュ関数とその応用方式の安全性評価,および安全なハッシュ関数の設計論
である.

(1)について 証明可能安全性の重要性をいち早く認識し,暗号基盤技術の安全性証明技術の確立と体系化を行った.その成果は世界的にも認められており,代表的な教科書(Katz, ”Digital Signatures”, Springer, 2010)の安全性証明の1つのシナリオとして紹介されている.また,証明可能安全性の対象を暗号基盤技術から暗号プロトコルに拡張することで,社会的にニーズの高い電子入札や電子マネーなどの暗号プロトコルの研究を行った.
電気通信大学に赴任後は,電子政府として調達する暗号関連技術について指針を与えるCRYPTRECプロジェクト(総務省,経産省共催)に参画して安全性評価を担当した.理論研究を深耕するとともに,実用で重要なテーマを取り上げて教育指導して多数の学生を産業界に送り出した.

(2)について 共通鍵ブロック暗号技術の安全性解析手法である差分解析法や線形解読法に対して,NTT開発の共通鍵ブロック暗号(FEAL)の安全性評価を行うとともに,共通鍵ブロック暗号を用いたプロトコルに拡張する研究を行った.
 差分解読法や線形解読法など対する安全性を見極めることで,NTTの研究者として責任を果たそうとした.DESとFEALの鍵空間に数学的な構造が存在しないことを計算機実験で確認し,FEAL-8(簡易版)に対しては線形解読が可能なことを指摘して,FEAL-32に対しては線形解読に対して安全なことを証明した.

(3)について (2)で培った安全性評価手法を,ハッシュ関数の安全性評価に拡張し実際に社会で利用されている暗号基盤技術や暗号プロトコルの安全性評価を行った.一定のモデルの下で,安全性を保証できる方式と,ハッシュ関数に起因する脆弱性を有する方式に切り分けることが可能となることを示した.CRYPTRECの安全性評価に大きく貢献した.
 具体的には,ハッシュ関数(MD4やMD5など)で現実的な時間で衝突が見つかることを指摘して,ある電子メール用の認証プロトコル(APOP)で利用者のパスワードを31文字まで解読できるとの警鐘を鳴らした.なお,この成果は理論面と実用面の双方から重要な研究と認められ,電子情報通信学会論文賞などを受賞した.
 また,安全性なハッシュ関数の設計論も研究し,衝突計算困難性をみたす圧縮関数を部品とすることで,安全なハッシュ関数がシステムとして構成できることを示した.指導した社会人博士(卒業生)は,企業や大学で技術者,研究者として活躍している.

上記のとおり,共通鍵暗号と公開鍵暗号の両方の分野で成果を上げ,難関な国際会議で数多く発表している.その他,暗号基盤技術への脅威として,「量子アルゴリズムに対する公開鍵暗号及び秘密鍵暗号の安全性評価」,「最小ベクトル問題と格子アルゴリズムの公開鍵暗号への応用に関する研究」などを進め,「暗号プリミティブの安全性検証の自動化」についての萌芽的な研究も行った.

経歴

 
1979年4月
 - 
2001年3月
日本電信電話公社横須賀電気通信研究所
 
1995年10月
 - 
1998年9月
電気通信大学大学院情報システム学研究科 客員教授
 
1997年
 - 
2013年3月
早稲田大学理工学部 非常勤講師
 
2001年4月
   
 
電気通信大学 教授
 

学歴

 
 
 - 
1973年3月
早稲田大学高等学院  
 
 
 - 
1977年3月
早稲田大学 理工学部 数学科
 
 
 - 
1979年3月
早稲田大学 理工学研究科 数学専攻
 

委員歴

 
1987年
 - 
1991年
情報処理学会  情報規格調査会SC27/WG2, 幹事
 
1989年
 - 
1993年
情報処理学会  学会誌編集委員
 
1993年
 - 
1997年
電子情報通信学会  和文論文誌 基礎・境界
 
1995年
 - 
1996年
電子情報通信学会  英文論文誌 基礎・境界 暗号と情報セキュリティ 小特集号編集委員
 
1997年
 - 
1998年
日本応用数理学会  「数理科学の産業応用」調査研究部会 幹事
 

受賞

 
2018年3月
社団法人 電子情報通信学会 一般社団法人 電子情報通信学会 フェロー 証明可能理論を核とした暗号基盤技術の研究
 
2012年3月
情報セキュリティ文化賞審査委員会 情報セキュリティ文化賞 第8回「情報セキュリティ文化賞」
 
日本電信電話株式会社電気通信研究所および電気通信大学において長年にわたり暗号の安全性評価や暗号プロトコルを中心とした基盤研究を推進し多くの実績をあげられ、特にハッシュ関数MD5を利用した認証プロトコルAPOPの現実的な脆弱性を指摘し安全な電子メールの利用環境構築に寄与されたことに加え、優秀な情報セキュリティ研究者・技術者の育成・輩出にも尽力されるなど、わが国の情報セキュリティ技術の進展に多大な貢献をされたこと。
2010年5月
社団法人 電子情報通信学会 平成21年度 電子情報通信学会論文賞
 
2008年5月
独立行政法人 情報処理推進機構 情報処理推進機構 第4回 IPA賞(情報セキュリティ部門)
 
電子メールの認証プロトコルとしてよく使われているAPOPの脆弱性について、脆弱性関連情報届出制度に従って届け出を行い、危険性を指摘するとともに、当面の対策研究を迅速に行い、安全な電子メールの利用環境構築に寄与した。

同氏の指摘は、改めてハッシュ関数MD5の危殆化がユーザに及ぼす影響について焦点を当て、暗号アルゴリズム世代交代の重要性に関する議論を活性化し、情報セキュリティの向上に貢献した。
1995年12月
NTT社内表彰 NTT研究開発本部長 特許発明賞  電子現金方式
 

論文

 
Mitsugu Iwamoto, Kazuo Ohta, Junji Shikata:
IEEE Trans. Information Theory   64(1) 654-685   2018年   [査読有り]
Four Cards Are Sufficient for a Card-Based Three-Input Voting Protocol Utilizing Private Permutations
Takeshi Nakai, Satoshi Shirouchi, Mitsugu Iwamoto, Kazuo Ohta
Information Theoretic Security - 10th International Conference, ICITS 2017   LNCS 10681(Springer-Verlag) 153-165   2017年11月   [査読有り]
Yusuke Sakai, Keita Emura, Jacob Schuldt, Goichiro Hanaoka, Kazuo Ohta
Theoretical Computer Science   630(5) 95-116   2016年   [査読有り]
Yutaka Kawai(Mitsubishi Electric), Goichiro Hanaoka(National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, Kazuo Ohta(The University of Electro-Communications) Noboru Kunihiro(The University of Tokyo)
Security and Communication Networks   9(12) 1663-1675   2016年   [査読有り]
Takeshi Nakai, Yuuki Tokushige, Yuto Misawa, Mitsugu Iwamoto, Kazuo Ohta
Cryptology and Network Security - 15th International Conference, CANS 2016   LNCS 10052(Springer-Verlag) 500-517   2016年11月   [査読有り]

Misc

 
共通鍵暗号による秘匿検索暗号のセキュリティ
太田 和夫
日本銀行金融研究所 ディスカッション・ペーパー・シリーズ   2017-J-5    2017年3月   [査読有り][依頼有り]
安全性を証明可能なハッシュ関数の設計論
太田 和夫,國廣 昇,王 磊
電子情報通信学会誌   91(3) 218-223   2008年   [査読有り]
APOP が破られた
國廣 昇,太田 和夫
電子情報通信学会誌   91(9) 822-825   2008年
RSA暗号に対する格子理論に基づく攻撃(その2)
國廣昇,太田和夫
応用数理学会誌   18(3) 44-51   2008年
暗号における理論と実装のギャップ ---置き換えアプローチの二面性---,
太田 和夫,國廣 昇, Bagus Santoso
応用数理学会誌   18(4) 62-73   2008年12月

書籍等出版物

 
「数学ゲーム必勝法」, Elwyn R. Berlekamp, John H. Conway, Richard K. Guy, “Winning Ways for Your Mathematical Plays,” (A K Peters/CRC Press, 2001) の訳本
小林欣吾,佐藤創(監訳) (担当:共訳, 範囲:第4章 除去と分割)
共立出版   2016年12月   
Fault Analysis in Cryptography
Junko Takahashi, Toshinori Fukunaga, Shigeto Gomisawa, Yang Li, Kazuo Sakiyama, and Kazuo Ohta (担当:共著, 範囲:Fault Injection and Key Retrieval Experiments on an Evaluation Board)
Springer   2012年   
タスク構造確率I/O オートマトンを用いた安全性証明
米山 一樹,太田 和夫 (担当:共著, 範囲:第5章 数理的技法による情報セキュリティ(シリーズ応用数理))
共立出版   2010年7月   
ゲーム列による安全性証明の基礎
花谷 嘉一,太田 和夫 (担当:共著, 範囲:第3章 数理的技法による情報セキュリティ(シリーズ応用数理))
共立出版   2010年7月   
計算理論の基礎, Michael Sipser Introduction to the Theory of Computation Second Edition,(Thomson Course Technology) の訳本 3.複雑さの理論
太田 和夫,田中 圭介 監訳 (担当:監修)
共立出版   2008年5月   

講演・口頭発表等

 
ダミーエントリの作成方法に着目した共通鍵検索可能暗号CGKO方式の改良
野島 拓也,渡邉 洋平,岩本 貢,太田 和夫
暗号と情報セキュリティシンポジウム2018(SCIS2018)   2018年1月25日   
マルチユーザで利用可能な共通鍵型秘匿検索に向けて
早坂 健一郎,川合 豊,小関 義博,平野 貴人,岩本 貢,太田 和夫
暗号と情報セキュリティシンポジウム2018(SCIS2018)   2018年1月25日   
カードを用いた複数人でのマッチングプロトコル
古賀 優太,鈴木 慎之介,渡邉 洋平,岩本 貢,太田 和夫
暗号と情報セキュリティシンポジウム2018(SCIS2018)   2018年1月25日   
3枚のカードで実現可能な3入力多数決プロトコル
黒木慶久,古賀優太,渡邉洋平,岩本貢,太田和夫
暗号と情報セキュリティシンポジウム2018(SCIS2018)   2018年1月25日   
ロバスト秘密分散法CFOR方式における精密な安全性解析
鈴木慎之介,渡邉洋平,岩本貢,太田和夫
暗号と情報セキュリティシンポジウム2018(SCIS2018)   2018年1月24日   

担当経験のある科目

 

競争的資金等の研究課題

 
暗号技術によるIoTエコシステムのレジリエンス向上
研究期間: 2018年6月 - 2023年3月    代表者: 崎山一男
New Paradigm to Construct Public Key Cryptographic Schemes for Lightweight Devices with Provable Security against Quantum Attackers
研究期間: 2018年4月 - 2022年3月    代表者: SANTOSO BAGUS
長期間運用に耐えうる共通鍵暗号による秘匿検索暗号
研究期間: 2018年4月 - 2022年3月
情報理論的暗号理論における統一的パラダイムの深化、発展とその応用
研究期間: 2018年4月 - 2021年3月    代表者: 四方 順司
情報理論的暗号理論における統一的パラダイムの構築とその応用
研究期間: 2015年4月 - 2017年3月    代表者: 四方 順司

特許

 
PCT/JP2012/053948 : 検索システム、検索システムの検索方法、情報処理装置、検索プログラム、対応キーワード管理装置および対応キーワード管理プログラム
伊藤隆,服部充洋,松田規,太田和夫,坂井祐介
特願2011-035677 : 検索システム,検索システムの検索方法,情報処理装置,検索プログラム,対応キーワード管理装置および対応キーワード管理プログラム
伊藤隆,服部充洋,松田規,太田和夫,坂井祐介
特願2011-279002 : 個体別情報生成装置,暗号化装置,認証装置,及び個体別情報生成方法
山本大,武仲正彦,伊藤孝一,落合隆夫,崎山一男,岩本貢,太田和夫
特願2011-279001 : 温度センサ,暗号化装置,暗号化方法,及び個体別情報生成装置
山本大,落合隆夫,武仲正彦,伊藤孝一,崎山一男,岩本貢,太田和夫
特願2011-279000 : 温度センサ,暗号化装置,暗号化方法,及び個体別情報生成装置
山本大,落合隆夫,武仲正彦,伊藤孝一,崎山一男,岩本貢,太田和夫