共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

肺線維症におけるγδ細胞の役割解明と治療応用に向けた基盤研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K08543
体系的課題番号
JP20K08543
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

肺線維化とヒトγδ型T細胞の相関を明らかにするために、まずは細胞モデルを用いて検証を行った。ヒトγδ型T細胞は末梢血単核球分画からIL-2と独自に開発した新規抗原であるPTA(tetrakis‐pivaloyloxymethyl 2‐(thiazole‐2‐ylamino) ethylidene‐1,1‐bisphosphonate)を用いて増殖誘導を行い、高純度かつ大量のγδ型T細胞を得ることが可能であった。細胞モデルとしてヒト肺線維芽細胞とヒトγδ型T細胞を共培養させたところ、肺線維芽細胞の1型コラーゲンの減少、COL1A1-mRNA、COL1A2-mRNAの発現の低下を認めた。またCulture Insertを用いて細胞間の直接接触を阻害すると、このコラーゲンの抑制作用は消失した。これらの結果からヒトγδ型T細胞の肺線維芽細胞に対するコラーゲン抑制作用は直接接触が必要であることが示唆されたが、現時点では明確な機序を明らかにすることができていない。またγδ型T細胞の活性剤であるHMBPP((E)-4-ヒドロキシ-3-メチル-2-ブテニル二リン酸)をヒトγδ型T細胞に作用させたところ、 コラーゲン減少を誘導するγδ型T細胞の必要数は大幅に減少し、またCulture Insertを用いた場合でもコラーゲンの抑制作用を認めた。HMBPPで刺激したヒトγδ型T細胞はIFNγやTNFαなどのサイトカインを放出するため、コラーゲン抑制作用の機序として液性因子の関与も示唆された。また本研究では線維化性間質性肺炎患者の血液、気管支肺胞洗浄液中のγδ型T細胞の免疫学的解析も実施しているが、現時点では各疾患や線維化とγδ型T細胞との関連は明らかでない。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K08543
ID情報
  • 課題番号 : 20K08543
  • 体系的課題番号 : JP20K08543