共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

多剤耐性菌の発生・伝播を防止するための感染制御・抗菌薬適正使用アルゴリズムの構築

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
21H03169
体系的課題番号
JP21H03169
配分額
(総額)
17,550,000円
(直接経費)
13,500,000円
(間接経費)
4,050,000円

抗菌薬の不適正使用により発生する多剤耐性菌と伝播による感染を明確に分類し、抗菌薬の使用動向および感染対策の質の影響を検証することを目的に研究を進めた。高木病院および全国サーベイランスによる日本全体における抗菌薬使用動向(AMR臨床カンファレンスセンター)では、抗菌薬の使用量は2020年より減少傾向にあり、特に2021年は前年の80%程度に減少していた。この状況が新型コロナ蔓延による感染対策の徹底により、感染症発生状況が減少した結果に起因しているものか、抗菌薬適正使用推進による成果であるのか、現状では解析結果の解釈が確定出来ていない。
一方、多剤耐性菌のうち、ESBL産生大腸菌のPOT型および遺伝子型を解析した結果、世界的なESBL産生大腸菌蔓延の要因となったST131株が、抗菌薬適正使用の推進、特にフルオロキノロンの適正使用推進により、検出数が減少傾向にあると報告されていたが、我々の研究協力施設における2021年の検出株の解析では、再びST131株が増加していることが判明した。また、ST131株の減少により、大腸菌のフルオロキノロンの感受性は回復していたが、ST131株の増加にともない、再びフルオロキノロン耐性率が上昇しており、フルオロキノロンの使用動向とESBL産生大腸菌のPOT型は強い相関があることが推察された。
多面的な観点からの評価/解析により、病院のみならず、老人施設などを含めた地域全体の感染対策と抗菌薬使用動向との関連を明らかにし、耐性菌発生・伝播モデルを数学的手法により構築する研究計画については、緊急事態宣言および蔓延防止等重点措置が発出され、福岡県での患者数増大が本研究の遂行に大きく影響し、サーベイランスが実施できない状況であった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21H03169
ID情報
  • 課題番号 : 21H03169
  • 体系的課題番号 : JP21H03169