共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2022年3月

軸力再配分ならびに連続する巨大地震を考慮した鉄筋コンクリート建物の崩壊性状評価

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K06636
体系的課題番号
JP17K06636
配分額
(総額)
4,680,000円
(直接経費)
3,600,000円
(間接経費)
1,080,000円

せん断破壊型の鉄筋コンクリート(RC)柱は脆性破壊する恐れから構造設計において敬遠される。しかし,せん断破壊型 RC 柱の破壊性状は主筋量によって大きく異なり,主筋量が多いほど剛性,耐力,靱性が高くなり,設計で生かす可能性が考えられる。ここで,曲げ破壊型RC柱では柱の終局的な靭性能を限界変形(水平力が最大耐力の80%まで低下したときの水平変形)で評価することが多い。一方,せん断破壊型RC柱は設計で用いられることが非常に少なく,用いられたとしても最大耐力以降の大変形領域には期待しないため,限界変形を調べることがあまり行われていない。しかし,主筋量が多く比較的粘りのある柱では,せん断破壊型RC柱でも終局的な変形を考慮した設計に使用できる可能性があり,限界変形の把握に意味があると考えられる。そこで,せん断破壊型RC柱を対象に,荷重低下後の大変形領域における限界変形等の実験結果と主筋比や軸力比等の実験変数との関係を調べた。その際,過去に実施された多数の実験結果をまとめたデータベースを用いて限界変形と各種の実験変数との関係を調べた。検討の結果,主として以下の点が明らかとなった。
(1)限界変形と軸力比との間に相関は見られない。限界変形と主筋比・主筋降伏強度にはある程度の相関がみられる。
(2) 主筋軸力比(軸力を主筋総断面積と主筋降伏強度の積で除した値)が大きいほど限界変形が小さい。更に損傷が進んだ耐力60%時では主筋軸力比と耐力低下時水平変形の相関がより強まる。これは,限界変形点のようにコンクリートの破壊が進んだ領域では,コンクリートに代わって主筋が軸力の多くを負担するためであると考えられる。しかし,限界変形と主筋軸力比が共に小さい試験体も存在するため,今後の検討が必要である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K06636
ID情報
  • 課題番号 : 17K06636
  • 体系的課題番号 : JP17K06636