共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

化合物半導体の湿式エッチングに関する体系的理解と応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K06866
配分額
(総額)
4,680,000円
(直接経費)
3,600,000円
(間接経費)
1,080,000円

Ⅲ-Ⅴ族化合物半導体(GaAs)を主な加工対象として,①二次元平面上への位置情報の付与,②物質固有の自発的秩序構造形成能力,③各種湿式プロセスを組み合わせたナチュラルリソグラフィー技術で,幾何学構造をナノスケールで高精度に制御する原理を理解すると共に高次構造体を低コスト・高スループットで作製する技術を開発し,個別に確立した技術・情報を相互に関連付け微細加工技術として最終的には体系化することを目的とする。
初年度は, GaAs基板上にエッチング時の触媒となる金を100 nm周期で島状に形成した。その後,酸と酸化剤からなるエッチング液(エッチャント)に金を付与した基板を浸漬し化学エッチングを施した。その結果,触媒として用いた金が基板内に沈降する正パターンのエッチングだけでなく,条件によっては金周囲がエッチングされる逆パターンのエッチングも生じることを確認した。金が頂部に残存したGaAsピラーのアスペクト比は,十分に高いとは言えないが,本研究を通じて得られた成果は学術論文として公表した。
二年目は,パターニング精度の向上を目指し,シリコンなどの半導体表面にレジストを塗布し,エッチングマスクの作製にも取り組んだ。既存のフォトリソグラフィーでは,ナノメートルスケールで規則的なパターンを持つマスクの作製は困難であることから,パターン周期をマイクロメートルスケールに設定し,周期的な開口部を持つマスクやライン状のパターンを持つマスクの作製を検討した。基板の露出部を限定し,触媒量を調整することで基板のエッチング速度などの評価が行えるものと考えている。並行して,貴金属に代わる触媒も模索した。引き続き,触媒のサイズ,形態,分布を高精度に制御する技術の確立ならびにエッチャント組成,温度などエッチング条件の最適化を推進し,通常の化学エッチングとの類似点,相違点の把握・理解に努める。

ID情報
  • 課題番号 : 17K06866