HIV感染者を対象とした医療,および心理・社会的援助介入プログラムの充実を図るために,米国在住日本人ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者の医療受診,AIDS Service Organization(ASO)等の援助組織の社会資源利用状況,およびHIV感染関連行動を明らかにした.対象は米国大都市在住の日本国籍HIV感染者25名とし,ASOで働く日本人カウンセラーを介して募られた.ほとんどの対象者が米国市民権・永住権所持に関わらず,医療保険やASOの提供する社会的サービスを享受していた.対象者の80%が性的接触による感染で,60%が過去1年間にカジュアルセックスをしていた.アナルセックスに比べオーラルセックスでのコンドーム常時使用者は低く,44%が飲酒・薬物影響下でのカジュアルセックスがあった.米国在住日本人HIV感染者は現在享受しているHIV治療や医療保険に満足していたが,精神面でのさらなるサポートの必要性が明らかになり,HIV・性感染症予防のため,HIV感染者である在米日本人やアジア系移民を対象としたセイフセックス(オーラルセックス時のコンドーム使用等)を促進するため,社会・文化・環境面での調査研究の必要性が示唆された