論文

2018年6月

急性散在性脳脊髄炎(ADEM)が疑われる片眼性小児視神経炎の1例

眼科臨床紀要
  • 戸成 匡宏
  • ,
  • 松尾 純子
  • ,
  • 西川 優子
  • ,
  • 細木 安希子
  • ,
  • 奥 英弘
  • ,
  • 菅澤 淳
  • ,
  • 池田 恒彦

11
6
開始ページ
423
終了ページ
427
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
眼科臨床紀要会

目的:急性散在性脳脊髄炎(ADEM)が疑われた小児の片眼性視神経炎に対しステロイドパルス療法が奏効した1例を経験したので報告する。症例:4歳男児。頭痛、眼痛、嘔吐などの感冒様症状が出現し、その1週間後に左眼の急激な視力低下を訴えて大阪医大眼科を受診した。初診時所見として、視力は右眼1.2、左眼光覚弁(±)。対光反応は右眼迅速かつ十分、左眼は遅鈍でRAPD陽性であった。中心CFFは右眼38Hz、左眼測定不能、眼球運動は正常であった。眼底は右眼正常、左眼に著明な乳頭腫脹を認めた。髄液所見はMBP513(pg/mL)と高値であった。MRI所見では左視神経、両側の前頭葉、後頭葉に高信号を認めた。ADEMを疑い、ステロイドパルス療法を開始した。初期のステロイドの反応性は悪かったが、4ヵ月後に左眼矯正視力は1.0に回復した。結論:本症例はステロイドパルス療法の初期の反応が悪く、4クール要したが、最終的に視力予後は良好であった。今後も脱髄性病変や視神経炎が単相性に経過するか引き続き注意深い経過観察が必要であると考えられた。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 1882-5176
  • 医中誌Web ID : S625320001

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