共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年6月 - 2024年3月

デュアルフェーズエンジニアリングによるIoT社会に貢献する広帯域電波吸収体の創製

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(S)  基盤研究(S)

課題番号
19H05620
体系的課題番号
JP19H05620
配分額
(総額)
159,380,000円
(直接経費)
122,600,000円
(間接経費)
36,780,000円

本研究では、ソフト磁性相・ハード磁性相を含み、その二相組織が制御されたモディファイド磁性微粒子によって、次世代通信帯域で機能できる広帯域かつ薄型の電波吸収体の開発を目的とする。令和3(2021)年度は、メカニカル混合を継続するほか、アークプラズマ蒸着法(APD)、有機金属分解法、エアロゾルデポジション法(AD)などのコーティング技術を駆使し、交換結合の効果も検証したモディファイド磁性粒子を作製することを試みる。また、二相分離変態を利用した複合組織からなるモディファイド磁性粒子も作製する。これらの組織、磁気特性、高周波特性を調べ、その可能性を検討した。
その結果、APD法によって、コアをハード磁性相のCoFe2O4(以下CFOと略す)、シェルをソフト磁性相のFeとしたモディファイド粒子の作製に成功した。得られた粉末を用いて樹脂複合体を作製し、高周波磁気特性を測定したところ、シェル相の分率変化によってノイズ吸収周波数をシフトできることが明らかになった。また、AD法によりグラフェンとFeからなる複合膜の作製に成功し、組成を変化させることによって複合膜の面抵抗の制御が可能となり、高い電磁ノイズ抑制効果を得ることができた。さらにFe-Cr-Co系合金のスピノーダル分解を用いて、非強磁性のCrリッチ相(α2)相内に単磁区粒子サイズの強磁性FeCoリッチ相(α1)を出現させた二相分離組織を有する粉末の作製し成功した。この粉末において最終時効処理温度を制御することによって両相間の組成差を変化させることができ、その結果、目的周波数にチューナブルに対応できる電磁波吸収体になることが分かった。この結果は、二相分離変態を示す合金においてGHz帯の電磁波吸収体になることを示したものであり、世界初の結果であると考えられる。

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-19H05620/19H05620_saitaku_shoken_ja.pdf
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19H05620
ID情報
  • 課題番号 : 19H05620
  • 体系的課題番号 : JP19H05620

この研究課題の成果一覧

論文

  5

講演・口頭発表等

  4