2019年6月 - 2024年3月
デュアルフェーズエンジニアリングによるIoT社会に貢献する広帯域電波吸収体の創製
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(S) 基盤研究(S)
本研究では、ソフト磁性相・ハード磁性相を含み、その二相組織が制御されたモディファイド磁性微粒子によって、次世代通信帯域で機能できる広帯域かつ薄型の電波吸収体の開発を目的とする。令和3(2021)年度は、メカニカル混合を継続するほか、アークプラズマ蒸着法(APD)、有機金属分解法、エアロゾルデポジション法(AD)などのコーティング技術を駆使し、交換結合の効果も検証したモディファイド磁性粒子を作製することを試みる。また、二相分離変態を利用した複合組織からなるモディファイド磁性粒子も作製する。これらの組織、磁気特性、高周波特性を調べ、その可能性を検討した。
その結果、APD法によって、コアをハード磁性相のCoFe2O4(以下CFOと略す)、シェルをソフト磁性相のFeとしたモディファイド粒子の作製に成功した。得られた粉末を用いて樹脂複合体を作製し、高周波磁気特性を測定したところ、シェル相の分率変化によってノイズ吸収周波数をシフトできることが明らかになった。また、AD法によりグラフェンとFeからなる複合膜の作製に成功し、組成を変化させることによって複合膜の面抵抗の制御が可能となり、高い電磁ノイズ抑制効果を得ることができた。さらにFe-Cr-Co系合金のスピノーダル分解を用いて、非強磁性のCrリッチ相(α2)相内に単磁区粒子サイズの強磁性FeCoリッチ相(α1)を出現させた二相分離組織を有する粉末の作製し成功した。この粉末において最終時効処理温度を制御することによって両相間の組成差を変化させることができ、その結果、目的周波数にチューナブルに対応できる電磁波吸収体になることが分かった。この結果は、二相分離変態を示す合金においてGHz帯の電磁波吸収体になることを示したものであり、世界初の結果であると考えられる。
その結果、APD法によって、コアをハード磁性相のCoFe2O4(以下CFOと略す)、シェルをソフト磁性相のFeとしたモディファイド粒子の作製に成功した。得られた粉末を用いて樹脂複合体を作製し、高周波磁気特性を測定したところ、シェル相の分率変化によってノイズ吸収周波数をシフトできることが明らかになった。また、AD法によりグラフェンとFeからなる複合膜の作製に成功し、組成を変化させることによって複合膜の面抵抗の制御が可能となり、高い電磁ノイズ抑制効果を得ることができた。さらにFe-Cr-Co系合金のスピノーダル分解を用いて、非強磁性のCrリッチ相(α2)相内に単磁区粒子サイズの強磁性FeCoリッチ相(α1)を出現させた二相分離組織を有する粉末の作製し成功した。この粉末において最終時効処理温度を制御することによって両相間の組成差を変化させることができ、その結果、目的周波数にチューナブルに対応できる電磁波吸収体になることが分かった。この結果は、二相分離変態を示す合金においてGHz帯の電磁波吸収体になることを示したものであり、世界初の結果であると考えられる。
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- ID情報
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- 課題番号 : 19H05620
- 体系的課題番号 : JP19H05620
この研究課題の成果一覧
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論文
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564(Part2) 170200-1-170200-11 2022年12月15日 査読有り
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Journal of Alloys and Compounds 903 163920--163920-9 2022年5月15日 査読有り
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電気学会論文誌A (基礎・材料・共通部門誌) 142(2) 45-51 2022年2月1日 査読有り
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電気学会マグネティックス研究会資料(MAG-21-134~143) MAG-21-137,15-17 2021年12月16日
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粉体および粉末冶金 68(9) 347-355 2021年9月15日 査読有り
講演・口頭発表等
4-
粉体粉末冶金協会 2022年度秋季大会(第130回講演大会) 2022年11月15日 粉体粉末冶金協会
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電気学会 マグネティックス/リニアドライブ合同研究会 2022年6月3日 電気学会 招待有り
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粉体粉末冶金協会2020年度秋季大会(第126回講演大会) 2020年10月27日
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粉体粉末冶金協会2020年度秋季大会(第126回講演大会) 2020年10月27日