共同研究・競争的資金等の研究課題

2014年4月 - 2019年3月

有機修飾無機層間化合物による非イオン性有機化合物の選択的認識・捕捉機能の開拓

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
26281036
体系的課題番号
JP26281036
配分額
(総額)
15,860,000円
(直接経費)
12,200,000円
(間接経費)
3,660,000円

芳香環同士に働く相互作用を利用して、モンモリロナイト(MMT)層間に種々の芳香族カチオンをインターカレートした有機修飾MMTによる、水溶液中の芳香族化合物の選択的捕捉について検討した。
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捕捉対象とする芳香族有機化合物として、1,3-ジニトロベンゼン(DNB)、1,3-ジメトキシベンゼン(DMB)を用いた。芳香環の電子密度は、DMB>DNBの順に大きい。捕捉対象物質を単一で含む0.1 mM溶液20mlに、(各有機修飾MMTのモル数)/(溶液中の各捕捉対象物質のモル数) =50となるよう有機修飾MMT(TPP50-MMT、AmylTPP50-MMT)を投入した。 20℃で4時間振とうし、固液分離後、ろ液をHPLCにより分析した。
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各有機修飾MMTにおいて、捕捉率はDMB>DNBとなった。これは、各芳香族カチオンの電子密度の小さい芳香環と、DMBの電子密度の大きい芳香環によるπ-πスタッキング相互作用による捕捉が生じたことを示唆している。TPP50-MMTとAmylTPP50-MMTによる捕捉機構の違いを明らかにするため、熱力学的解析を行った。TPP50-MMTによるDMBの吸着において、DMBとTPP間では層間内で強いπ-πスタッキング相互作用が生じ、TPPに水和された束縛された水分子を追い出すためΔS > 0となり、吸着のΔG|数10 kJ/mol| 程度を満たすようΔH > 0の吸熱反応が生じる。AmylTPP50- MMTでは、ΔH = 27 kJ/molとTPP50-MMTの10 kJ/molより吸着エネルギーΔHは大きくなった。AmylTPP-MMTがTPP-MMTと比較し芳香環がペンチル基に置き換わっていることから、MMT層間内の立体障害が減少し、DMBとの接近性が高まり、AmylTPPの芳香環(+)とDMBの芳香環(-)が強く相互作用したことを示唆している。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-26281036
ID情報
  • 課題番号 : 26281036
  • 体系的課題番号 : JP26281036