講演・口頭発表等

2014年10月31日

下顎管の拡大を伴う悪性リンパ腫の1例

第19回臨床画像大会
  • 栗林亜実
  • ,
  • 中村伸
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  • 坂本潤一郎
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  • 能村嘉一
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  • 原田浩之
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  • 倉林 亨

記述言語
日本語
会議種別
口頭発表(一般)
主催者
日本歯科放射線学会
開催地
岡山

患者は64歳男性、右オトガイ部の痺れを主訴として本学歯学部附属病院顎口腔外科を受診した。口腔内の所見は右下顎骨小臼歯根尖相当部歯肉に約4mm大の腫瘤が存在し、圧痛を認めた。約5年前に左副鼻腔内の悪性リンパ腫の既往があった。患者は造影MRI、CTおよびPET-CT検査を行った。MRIにおいて右下顎管は拡張し、T1WIにおいて筋と同等、脂肪抑制T2WIにおいて高信号を示し、Gdによる増強が認められた。またオトガイ孔相当部に約4x3mm大の増強される腫瘤を認めた。パノラマおよびCTにおいては下顎管の拡大のみが認められ、明らかな骨破壊像や軟部腫瘤影は認められなかった。FDG-PETでは右下顎管の走行に沿って連続的なFDG集積が認められた(SUVmax3.6→4.5)。以上の所見より右下顎骨骨髄炎または悪性リンパ腫の再発が疑われた。右下顎神経下唇枝生検を行った結果、神経組織および周囲組織には異型を有する大型リンパ球がび漫性に増殖し、神経線維束の中に入り込むように浸潤がみられた。病理組織学的診断はDiffuse large B cell lymphomaであり過去の副鼻腔リンパ腫の再発として矛盾しない所見であった。今回の症例の様に悪性リンパ腫が下顎管に限局して発生する事はまれであり、文献的考察を加えて報告する。