講演・口頭発表等

2012年9月

視交叉上核における周期分布と位相波形成

第19回日本時間生物学会学術大会
  • 鯉沼 聡
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  • 長野 護
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  • 古河恵一
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  • 筋野 貢
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  • 升本 宏平
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  • 重吉 康史
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  • 浅川 剛
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  • 八木田和弘

主催者
第19回日本時間生物学会学術大会
開催地
札幌市
哺乳類体内時計の中枢である視交叉上核(SCN)は構成する神経細胞が同期し、概日のリズムを発振する。これらの細胞は個々に解離した状態では様々な周期を示すことが知られているが、それらがSCNでどのように分布しているかは不明であった。我々はラットPer2::lucのSCNスライスにcAMP合成酵素であるアデニル酸シクラーゼを活性化するホルスコリンを継続的に添加した際の周期への影響を測定した。観察したSCNの画像を格子状に分割し、それぞれの区画においてlucの発光が示す振動を解析すると、SCNの同期状態が失われていることを発見した。この時、24h未満の周期を持つ短周期の領域(SPR)はSCNの内側の小領域に限局し、24時間よりも長周期の領域(LPR)は外側に存在するという領域特異性を持っていた。興味深いことに、SPRはSCNでPerの発現が内側から外側へと位相差を持って伝播する位相波の起点領域と一致していた。また、Per1, Per2の発現解析からこの位相差は短日条件から長日条件