MISC

2018年

浸水域と水位の同化による河川氾濫シミュレーションの高度化

水文・水資源学会研究発表会要旨集
  • 塩澤 拓斗
  • ,
  • 山崎 大
  • ,
  • 平林 由希子

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記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
水文・水資源学会

温暖化の進行とともに激化することが想定される洪水への適応策が求められる中,洪水予測の精度向上は,円滑かつ適切な避難誘導を促すとして期待されている.データ同化による洪水予測精度の向上に関する研究は少なくないが,広域スケールにおいて氾濫原を含む浸水域同化の枠組みは確立されていない.しかしながら,氾濫原における水動態を考慮せずに広域な流域全体の水動態を再現することは困難であるため,氾濫原を含む浸水域の同化は予測精度向上に大きく貢献することが想定される.また,既往の同化研究においては,ある河川モデルに対して,単一種類の観測値の同化を行うことで同化の効果を検証するというフレームワークが一般的であった.しかし,洪水予測における観測値の有用性を相対的に評価し,より実際的な議論を行うためには,同一モデル・同一ケースに対し異なる複数種類の観測値の同化を行うことが必要である.<br>本研究においては,局所アンサンブル変換カルマンフィルタ(LETKF)を用い,広域計算に特化した河川氾濫モデルへの浸水域および水位の同化を行うシステムを構築した.その後,2011年のチャオプラヤ川洪水に対して2種類の実観測データをそれぞれ同化した際の影響評価を行った.同化結果を比較することにより,観測の密度と誤差精度が予測精度の向上にどれほど影響するかを定量的に示すことで,効果的な水文観測網構築のための指針や衛星観測による洪水予測向上の期待値を示すことに成功した.

リンク情報
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130007554070
ID情報
  • CiNii Articles ID : 130007554070
  • identifiers.cinii_nr_id : 9000018668231

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