共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2023年3月

教育学と脳科学の関係を自律性の観点から明らかにする現象学研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(C)

課題番号
18K02360
体系的課題番号
JP18K02360
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
1,950,000円
(直接経費)
1,500,000円
(間接経費)
450,000円

脳科学と教育学との関係を明らかにするうえで、本年度は脳科学の「親学問」である生物学から発生・発達(development)を考えることを第一の課題に研究を進めた。
生物学の諸相で問題となる分裂(分離)と結合の運動は、その科学的解明が進めば進むほど、それが対立二極の一致と不一致という哲学の古典的問題と強い関連をもっていることがますます明らかになっている。このことを、最新の生物学知見に照らしながら示すことで、生物学と哲学の接点を、生物学の側面から浮き彫りにした。また、この考察は、教育学が夙に追求してきた人間の発達というテーマを、理論的背景を明確にして具体的に明らかにする基盤ともなる。このことも合わせて示すことにつとめた。生物学の最新研究・哲学の古典・教育実践も含めた教育学の伝統、この三つの流れの交点を探り、一定の解答を得られたこと、そして、それをいかに発展させるべきかの方向性を定められたことが、本年度の研究の最大の意義である。
脳科学が脳の各部位の説明に限定されがちである点を改めて整理したうえで、精神をいかにして分離と結合の運動に位置づけて考察することができるかを明らかにすることが、今後の課題となる。この課題は、精神の機能を否定性におく哲学的意味の解明、否定性をポジティブなものに回収しようとする科学研究の批判的検討、科学を成立させているいわゆる第三者視点の解明、この三つを相互往還させることで達成可能なはずである。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K02360
ID情報
  • 課題番号 : 18K02360
  • 体系的課題番号 : JP18K02360