共同研究・競争的資金等の研究課題

2010年4月 - 2013年3月

詩的言語におけるリズムと形象(フィギュール)の相関関係の研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(C)

課題番号
22520335
体系的課題番号
JP22520335
配分額
(総額)
2,080,000円
(直接経費)
0円
(間接経費)
0円
資金種別
競争的資金

まず、「リズム」という概念をそのギリシャ語源に遡り、いかにそれが(ある特殊な)「形」の概念に結びついているか、及びそれが人間の知覚と想像の条件、その環境形成にどのようにかかわっているかを、人類学的、美学的、詩学的、及び哲学的視座から考察した論考「リズムと形を巡るノート」を記した。この論考の中で、リズムに大きな関心を示した近代詩人(ヴァレリー、クローデルなど)が言及されているが、詩的言語の具体的なリズム論の問題は詩人二人を巡る論文で個別に扱っている。一人目のM.ドゥギーについては2011年3月の国際シンポジウムで発表を行い、その内容を発展させた論文が今後"Pensee de rythme-figure"という題で論叢に収録されフランスで出版される予定であり、次のP. クローデルについては"Cent phrases pour l'eventail, encore(rythme et figure)"という論文を海外の専門誌に投稿し、現在審査結果を待機中である。ついで、造形芸術における「リズム」の概念については、前述の論文の続編となる「リズムと形を巡るノート(2)」で、主にパウル・クレーの「リズム」の構想を巡り、同時代のドローネ等の画家のリズムの懸念等と比較しながら、空間において持ちうるリズムの表現の問題を検討した。これらの論文を通じ、漠然と音楽ならびに時間的要素に結びつけられるいわゆる「リズム」の概念が、いかに空間的なイメージを伴っているか、そしていかに機械的な定期性と異なる儚い「均衡」の形態として詩的言語及び造形の世界で構想されてきたかを、いくつかの具体例の検証とともに明らかにしたと言える。概論的な論文1つ、及び詩的言語に関する論文2つ(現時点で未刊行)、美術にかかわるもの1つが準備できたので、今後は可能なら音楽関係のものも準備してみたいと考えている

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-22520335
ID情報
  • 課題番号 : 22520335
  • 体系的課題番号 : JP22520335