MISC

2016年7月

SGLT2阻害薬ルセオグリフロジンの患者背景別にみた有効性と安全性の検討 国内52週投与試験の併合解析

Progress in Medicine
  • 佐々木 敬
  • ,
  • 坂井 荘一
  • ,
  • 小野 剛
  • ,
  • 寒川 能成

36
7
開始ページ
961
終了ページ
971
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(株)ライフ・サイエンス

SGLT2(sodium-glucose cotransporter 2)阻害薬は腎臓の近位尿細管に存在するSGLT2を阻害することで、血糖値を低下させる2型糖尿病治療薬である。その投与に当たっては、年齢、腎機能あるいは肝機能などによる影響を考慮する必要がある。本検討ではこのうち年齢と肝機能に着目し、投与開始時の年齢および肝臓の逸脱酵素であるアラニンアミノトランスフェラーゼ(以下、ALT)値による層別解析を行い、有効性および安全性への影響を検討した。年齢による検討では、いずれの部分集団(65歳未満、65歳以上75歳未満、75歳以上)でも血糖低下を認めたが、75歳以上の部分集団でやや効果が減弱する傾向にあった。ALT値による検討では、部分集団(45IU/L以下、45IU/L超)によらず血糖低下が認められ、また肝機能パラメータはALT高値の部分集団でより大きく低下した。安全性の検討においては、年齢別では、75歳以上の部分集団にて重篤な有害事象、中止に至る有害事象および腎機能に関する有害事象の発現率が、その他の部分集団に比べ高い傾向を認めた。一方、ALT値別では、有害事象の発現状況に差は認めなかった。以上から、SGLT2阻害薬投与においては、年齢、肝機能などの背景を確認し、個々の患者におけるメリット、デメリットを考慮した上で投与を検討することが重要と考えられる。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 0287-3648
  • 医中誌Web ID : 2016292136

エクスポート
BibTeX RIS