2020年1月
頸部壊死性筋膜炎で発症した劇症型溶血性レンサ球菌感染症の1剖検例
法医病理
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- 巻
- 25
- 号
- 2
- 開始ページ
- 105
- 終了ページ
- 109
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 日本法医病理学会
70代の女性。死亡の前日より食欲不振と下痢症状があり、死亡当日には左側頸部に腫脹が出現し急激に拡大した。経過観察をしていたが、紅斑出現後約6時間で死亡した。剖検時に採取した心臓血よりA群溶連菌を検出し、組織学的に頸部筋肉に多数のグラム陽性球菌による壊死性筋膜炎の所見が見られた。以上のことから劇症型溶血性レンサ球菌感染症(Streptococcal toxic shock syndrome、STSS)と診断し、感染症法に基づき保健所へ届け出を行った。STSSは、その急激な経過から病院受診する間もなく死亡することがあり、その場合は法医解剖に付されることも多いと考えられる。STSSの初発病巣は通常四肢および体幹に多く、頸部発症例は稀とされているが、壊死組織がどこに見られようとSTSSは常に念頭に置くべき疾患であると考えられた。(著者抄録)