論文

査読有り
2018年12月

奈良県における用水路での死亡事例の検討

法医病理
  • 羽竹 勝彦
  • ,
  • 粕田 承吾
  • ,
  • 工藤 利彩
  • ,
  • 勇井 克也
  • ,
  • 森本 真未

24
2
開始ページ
139
終了ページ
147
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
日本法医病理学会

過去10年間に奈良県立医科大学法医学教室で行われた1613例の解剖例のうち、用水路内での死亡発見事例70例について、法医剖検記録から死者の性別、年齢、死因、認知症の有無、自転車使用の有無、血中アルコール濃度、発生月、用水路の大きさなどを抽出し、検討した。70例の内訳は男性55例(78.6%)、女性15例(21.4%)年齢は13歳〜92歳、平均年齢は71±16歳であった。発生月別でみると10月〜3月に多く、6月〜9月に少ない傾向が見られた。死因は、溺死が36例(51.4%)、外傷死が14例(20.0%)、凍死11例(15.7%)、病死7例(10.0%)および体位性窒息2例(2.9%)であった。70例中、22例(31.4%)にアルコールが検出された。溺死36例のうち、21例に外傷を認め、12例からアルコールが検出された。外傷死の死因は脳挫傷、上位頸髄損傷、肺挫傷、骨盤骨折であった。凍死11例のうち、8例は70歳以上であり、5例は女性であった。70例中11例は認知症と診断されており、すべて70歳以上であった。自転車走行中の事例は27例あり、70歳以上が17例で、溺死と外傷死が多かった。これらの結果から、用水路への転落による死亡は高齢者が多く、死因としては溺死が多かった。溺死例の多くは外傷をともなっており、意識消失をきたし溺死した可能性が考えられた。また、認知症、自転車走行、飲酒が用水路への転落の危険因子になっているものと判断された。特に高齢者において、柵がない用水路は危険因子としての認識が重要である。(著者抄録)

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