論文

査読有り
2017年11月

軽微な外力にもとづくと考えられた非穿通性総頸動脈損傷による急死事例

法医学の実際と研究
  • 粕田 承吾
  • ,
  • 工藤 利彩
  • ,
  • 勇井 克也
  • ,
  • 近藤 武史
  • ,
  • 中田 匡俊
  • ,
  • 今井 裕子
  • ,
  • 中西 真理
  • ,
  • 國安 弘基
  • ,
  • 羽竹 勝彦

60
開始ページ
141
終了ページ
147
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
法医学談話会

50代男性。昼食中に突然気分不良を訴え、死亡した。頸部周囲に著明な腫脹があり、剖検の結果、左総頸動脈裂傷による喉頭閉塞のため窒息したものと判断した。左総頸動脈の破綻部とほぼ同じ高さの右総頸動脈の内膜にも裂傷を認めたことから、内因性疾患によるものではなく、外力による非穿通性総頸動脈損傷であると考えた。組織学的検査により受傷時期の推定を行った結果、免疫染色で好中球の浸潤像を認めたがマクロファージは認めなかったことから、受傷後1日程度が経過していると考えられた。非穿通性の頸動脈損傷は通常、交通事故や墜落などで頸部に強い外力が加わったときに生じるが、本例は頸部に外力が加わった所見は認められず、警察の捜査によっても数日内に事故にあった事実は明らかにされなかった。自殺(縊頸)するような動機もなく、本例の頸動脈損傷は本人も気付かないほどの非常に軽微な外力で生じたものと考えざるを得なかった。

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