1997年 - 1999年
東アジアのヒト上科の起源と進化
文部科学省 科学研究費補助金(国際学術研究, 基盤研究(A)) 国際学術研究, 基盤研究(A)
- 課題番号
- 09041161
- 体系的課題番号
- JP09041161
- 担当区分
- 連携研究者
- 配分額
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- (総額)
- 16,400,000円
- (直接経費)
- 16,400,000円
- (間接経費)
- 0円
- 資金種別
- 競争的資金
本研究では東アジア地域におけるヒト上科を中心とした霊長類の進化過程の解明を目的として、各地の第三紀の地層の発掘と化石資料のデータ収集・解析をおこなった。具体的には中国雲南省の後期中新世の地層、ミャンマー中部のポンダウン地域の中期始新世の地層、タイ北部のバン・ナ・サイ地域の中期〜後期中新世の地層、中国遼寧省の新生代初期の地層の4ヵ所において発掘調査をおこない、このうちミャンマーのポンダウン地域とタイのバン・ナ・サイ地域において、霊長類化石の発見に成功した。ポンダウン地域では、これまで同地域で見つかっていた2種の化石霊長類(ポンダウンギアとアンフィピテクス)の新しい標本を発見した。両種は東アジアで見つかる最古の真猿類化石である可能性が強く、今回の我々の発見により、その系統的位置が解明されると思われる。またこの両種以外に新しい小型の霊長類化石2種も発見した。この新化石は両方とも新属、新種であり、一方はフランスの調査隊により記載され、もう一方は我々日本隊により記載中(論文投稿中)である。ポンダウンの霊長類化石は、東アジアで原猿類から真猿類への進化が生じた可能性を強く示唆している。タイのバン・ナ・サイ地域では、中期中新世(約1500〜1400万年前)の地層からヒト上科のものと思われる右上顎大臼歯の化石を発見した。残念ながら1本の遊離歯化石にすぎないので、確実にヒト上科であるとは断言できないが、これまでおこなった予備的な観察ではヒト上科の可能性が強いと思われる。今回の化石が本当にヒト上科のものだとすると、これは東アジア地域で見つかった最古のヒト上科の化石であり、東アジア地域におけるヒト上科の進化に関する重要な情報となると思われる。
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- ID情報
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- 課題番号 : 09041161
- 体系的課題番号 : JP09041161