MISC

2016年10月

神経細胞の電気活動から精神疾患へ

精神神経学雑誌
  • 芳野 浩樹

118
10
開始ページ
794
終了ページ
800
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(公社)日本精神神経学会

臨床現場で日常的に行われる脳波検査から,ヒトの高次脳機能が神経の電気活動およびその律動により構成されていることをわれわれ精神科医は実感することができる.脳内の個々の神経細胞が入力刺激に反応して活動電位を発生し,次の神経細胞にシグナルを伝達してネットワークを形成し機能することが精神活動の基盤となると考えられている.しかしながら,最新の神経科学においてもいまだ多くは解明されていないのが現状である.よって精神医学における各疾患の病態生理において,どの脳領域のどの神経細胞でどのような障害が起きているかなどという詳細な機序については,なおさら解明できていない.しかし,そのような現状においても,各精神疾患の克服を将来に期待するためには,こういった神経細胞レベルの知見を積み重ねていくことが重要である.精神活動にかかわる脳領域として重要な大脳皮質,海馬などの局所神経回路を構成する神経細胞は,グルタミン酸を放出して興奮性の神経伝達を行う錐体細胞とγ-アミノ酪酸(GABA)を放出して抑制性の神経伝達を行う介在ニューロン(介在神経細胞)の2つに大きく分類される.これらの神経細胞の電気活動を記録する方法の1つにホールセルパッチクランプ法がある.この手法により1つの神経細胞の細胞膜での興奮性入力や抑制性入力,活動電位などの電気活動を記録することができる.こういった手法を用いて行われる,精神疾患にかかわる基礎的な研究を紹介してみたい.(著者抄録)