共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年6月 - 2020年3月

理論に基づく健康アウトカムに鋭敏な日本社会における社会階層の測定法と分析法の探索

日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)  挑戦的研究(萌芽)

課題番号
18K19699
体系的課題番号
JP18K19699
配分額
(総額)
6,240,000円
(直接経費)
4,800,000円
(間接経費)
1,440,000円

当該研究関連分野の第一人者4名を招いた研究会で、階層形成と健康の因果論(橋本英樹先生)、社会学における職業的地位尺度の開発(藤原翔先生)、首都圏調査の結果(橋本健二先生)、時間の貧困(浦川邦夫先生)に関するレクチャーとディスカッションを行った。長い研究の歴史があるものの社会的地位の測定と理論付けが研究領域間で十分に合意されていない(変数の取り扱い方が異なる)点、アウトカム毎に曝露要因が異なる可能性といった解析上の課題、職業威信スコアや社会経済指標(SEI:職業の学歴水準と職業の所得水準)の比較研究の成果(職業威信スコア導入の意義は少ない可能性)、階級論の基礎と現代日本で課題となりつつあるアンダークラスの階層、生活時間の貧困が健康問題につながる可能性等の視点を得た。
以上の理論的な検討を基に、研究班員がアクセス可能なデータベースを用いて主たる専門分野の課題について実証作業を実施した。2015年「社会階層と社会移動:SSM」調査データから20歳~59歳の有職者に限定(N=3798)した解析で、社会経済指標(JSEI)、社会的地位指標(JSSI)、SSM職業威信スコア(1995年版)は、主観的健康および精神的健康に対してほとんど影響しないことを確認した。一方で、主観的社会的地位(職業以外の要素も含む総合的な指標)は、因果推論に難があるものの、健康指標と関連が強いこと(神林)、国民生活基礎調査を用いた解析で、女性は収入と教育歴の両方が自覚的不健康感に関わるが、男性では収入のみが関連するというジェンダー差(本庄)、中高年者縦断調査の解析で、社会参加が高齢期のNon Communicable Diseases (NCD)の発症と関連する可能性(小塩)、労働者のパネルデータを用いた解析で、教育、収入、職業の複合貧困指標が一部NCDの有病率と関連すること(堤)、等を確認した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K19699
ID情報
  • 課題番号 : 18K19699
  • 体系的課題番号 : JP18K19699