共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

野生動物の非消費的資源化に向けた観察可能性評価法およびその資源価値向上法の検討

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(C)

課題番号
17K08189
体系的課題番号
JP17K08189
配分額
(総額)
4,810,000円
(直接経費)
3,700,000円
(間接経費)
1,110,000円

アナグマの観察可能性が高い場所として想定される巣穴の立地条件を昨年度以降に確認された巣穴を加えた46ヶ所を対象に解析した。巣穴の立地条件として、巣穴が立地する斜面の向き、傾斜度との関係を牧場内にランダムに発生させた500点と比較した。その結果、巣穴が開口する方位はランダム点の斜面方位と比べて北向きに有意に偏る傾向があり、シカの採食活動による撹乱が分布に影響したことが示唆された。傾斜度については、ランダム点との間で有意差は認められず、本調査地全体が傾斜地に立地していることが影響したと考えられた。
4頭の成獣アナグマ(♀2頭、♂2頭)にGPS首輪を装着し、15~105日の追跡データを取得した。2頭の♀同士が重複した行動圏をもち、♂間および一部の♂と♀の間では行動圏が比較的排他的に分布しており(平均:101.7ha, レンジ:44-252ha, 最外郭法)、少なくとも本調査地に3家族生息していることが明らかとなった。各家族の行動圏内に2穴1室および1穴2室の2タイプの人工巣穴を各1基ずつ、計6基を設置し、センサーカメラによる利用モニタリングを実施したが、現時点ではアナグマによる利用は確認されなかった。
散策法による野生動物の観察可能性とカメラトラップでの相対撮影頻度との対応関係を検討するため、調査地を500m四方の21のグリッドに分割し、2017年度に取得したデータを集計して両者の関係を解析した。比較的多くのデータが得られたニホンジカを対象に観察努力量あたりの観察率とカメラ稼働日数あたりの相対撮影頻度を算出して比較したところ、両者の間に有意な相関関係は認められなかった(r=0.37, p=0.09)。観察可能性は、観察者がどのような状況下で野生動物と遭遇するかといった条件にも左右されるため、カメラトラップ法による野生動物の生息・滞在確率だけでは予測が困難であったと推察される。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K08189
ID情報
  • 課題番号 : 17K08189
  • 体系的課題番号 : JP17K08189

この研究課題の成果一覧

論文

  2