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2014年5月

MAP結晶化反応を利用した豚舎汚水からのリン除去回収技術

農業および園芸(養賢堂)
  • 鈴木一好

89
5
開始ページ
537
終了ページ
544
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
養賢堂

農林水産省の畜産統計によると,平成25年2月1日現在,日本国内における豚の飼養戸数は5,570戸で,特に養豚業が盛んな鹿児島県(666戸,137万頭)や宮崎県(538戸,84万頭)などの九州地域(1,770戸,306万頭),千葉県(313戸,66万頭)や群馬県(282戸,61万頭),茨城県(408戸,58万頭)などの関東・東山地域(1,460戸,255万頭)を中心に,およそ970万頭の豚が飼養されている。これらの養豚業の事業所(養豚事業所)では多くの場合,豚に給餌される飼料は豚の日本飼養標準(中央畜産会 2013)に基づき設計されているが,リンはカルシウムとあいまって骨や歯の主成分として重要であることに加え,細胞の分裂や成長,血液凝固,筋収縮,エネルギー代謝などさまざまな生体機能にも関与していることから,この日本飼養標準に提示されているレベルのリンを含むよう豚の飼料は設計されている。しかし,豚に給餌されるリンが全て畜体に吸収されるわけではなく,吸収されなかったリンはふん尿中に排出される。日本飼養標準に準拠して豚を飼養した場合,例えば体重70kg程度の肥育豚は,ふん中へ6.5g P/頭/日,尿中へ2.2g P/頭/日,合計で8.7g P/頭/日のリンを排出するとされている(畜産環境整備機構 1998)。排出されたふん尿は多くの場合,固形分(ふん)と豚舎汚水(ふんの一部,尿,および豚舎洗浄水などが混じり合ったもの)に分けられたのち,固形分は堆肥化処理を経て堆肥として農地にて利用され,豚舎汚水は水質汚濁防止法などの法令に則り浄化処理されたのちに河川等に放流される。固形分を堆肥化する技術は既に確立されており(中央畜産会 2001),リンや窒素などの栄養塩類を含む堆肥を効率的に施用する方法についても提案されている(畜産環境整備機構 2010)ことなどから,固形分中のリンを堆肥のかたちでリサイクル利用する手だてはほぼ確立されている。しかし,豚舎汚水中のリンは,海域や湖沼の富栄養化防止のため関係法令にて規制される水質汚濁物質として取り扱われている(金津 2011)こともあり,まずは汚水からリンを除去する技術が必要とされている。

リンク情報
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/120005862797
CiNii Books
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN0038751X
URL
http://id.ndl.go.jp/bib/025483444
URL
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010872251 本文へのリンクあり
ID情報
  • ISSN : 0369-5247
  • CiNii Articles ID : 120005862797
  • CiNii Books ID : AN0038751X

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