共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年10月 - 2025年3月

プレート沈み込み帯における多様な地震断層の物理量の定量化と相互作用の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))  国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))

課題番号
20KK0077
体系的課題番号
JP20KK0077
配分額
(総額)
18,590,000円
(直接経費)
14,300,000円
(間接経費)
4,290,000円

地球物理学の分野では、スロー地震と巨大地震の相互作用を理解しようとする研究が進んでいる。地質学的物質科学では、変形の多様性、定性的なすべり速度、空間的な相互関係などが明らかとなっているが、地球物理学的な観測と結びつけることが必ずしもできていない。そこで本研究では、以下の2つを目的とする。一つは、海洋付加体、陸上付加体の多様な断層を対象に、過去の応力、歪、すべり速度等の物理量を物質科学的に徹底的に定量し、地球物理観測から得られた物理量と対比することで、両者を結びつけることである。2つ目は、これらの変形構造の空間的な関係を物理量とともに明らかにし、異なる速度の変形の空間的相互作用を明らかにすることである。
計画第2年度も、国内で可能な陸上付加体を対象とした研究を進めた。特に高知県白亜系四万十帯横波メランジュを対象に、1)被熱分布から断層滑り条件の制約、及び2)帯磁率異方性を用いた歪みの断層周辺の空間分布の検討を行なった。
1)では断層中心付近の被熱分布と破砕帯外の被熱分布の両脇から断層発熱パターンを制約し、幅約20cmの破砕帯がスロー地震としてすべったことを明らかにした。この破砕帯内に厚さ約1mmの巨大地震断層が共存しており、スロー地震と巨大地震が同じ断層帯で起こっていることを示している。さらに被熱履歴を明らかにするために、熱消磁処理した残留磁化測定を行う予定である。
2)の帯磁率異方性を用いて断層周辺のひずみ分布を検討したところ、断層から遠方での一軸圧縮のひずみが、断層帯に近づくについれて剪断ひずみが重複し、平面ひずみ的になっていることが明らかとなった。また、剪断ひずみの重複が少ない時は延性的なひずみで、より重複が大きくなると脆性的破壊に伴って、ひずみ軸がバラつくことが明らかとなった。これらの変形機構の違いをひずみの定量とともに明らかにしたことは大きな成果である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20KK0077
ID情報
  • 課題番号 : 20KK0077
  • 体系的課題番号 : JP20KK0077