共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

膵がん幹細胞を標的とした新たな光免疫療法の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K08387
体系的課題番号
JP20K08387
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

研究計画に基づいて令和3年度は以下の実績を得た。
徳島大学病院で新規に膵腫瘍(膵管内粘液性腫瘍IPMNを含む)と診断した患者を対象に、EUS-(Fine Needle Aspiration)FNAあるいはERCPで腫瘍組織(膵液中の腫瘍細胞を含む)を採取した。採取した細胞/組織を直ちに消化培地で約10分間、撹拌しながらインキュベートし、解離させた。解離した細胞および組織断片をマトリゲルに懸濁し、プレーティングした。EGF、Noggin、Rspondin1などを含む培地調整により増殖因子依存性を調べ、最小培養液においてスフェロイド形成が確認されたオルガノイドを候補として保管した。2022年3月末時点において7例の膵腫瘍オルガノイドを確立した。いずれも良好な発育を示しており、研究室に保存している。
これらのオルガノイドを用いてがん幹細胞マーカーである、LGR5、CD133、CD44v6に対して免疫染色ならびにフローサイトメトリーを行い、発現量を評価した。発現量は個体により様々であることが確認された。また、膵臓癌のキードラッグである5-FUおよびオキサリプラチンを用いて50%阻害濃度(IC50)による薬剤耐性を評価するとともに、ヌードマウスにオルガノイドを移植し、増殖能および薬剤耐性を評価した。薬剤耐性を比較した結果、IC50は膵臓癌オルガノイドが大腸癌細胞株より高値であった。これは膵臓癌オルガノイドが、分化した癌細胞よりも薬剤抵抗性が高いこと、つまり癌幹細胞の性質を有していることが示唆された。フローサイトメトリーの結果を照合すると、Lgr5陽性細胞陽性細胞中でCD133陽性率が高いものは薬剤感受性が高く、CD133陽性率が低いものが薬剤耐性に関わっている可能性が考えられた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K08387
ID情報
  • 課題番号 : 20K08387
  • 体系的課題番号 : JP20K08387