はじめに:骨格筋量が癌化学療法の奏効率や癌治療中のquality of lifeに関連する報告が散見される。当科でbiweekly-DCF術前補助化学療法(neoadjuvant chemotherapy:NAC)を受けた食道癌患者の骨格筋量の差における有害事象や抗癌剤の効果について検討した。対象と方法:2009〜2019年にbiweekly-DCFによるNACを行った105例を対象とした。第三腰椎下縁領域での腸腰筋面積を身長で補正したpsoas muscle index(PMI)を測定、男性6.36cm2/m2、女性3.92cm2/m2をcut-off値とし、cut-off値以上をhigh群、未満をlow群とした。血液毒性、非血液毒性、治療効果判定などを後方視的に検討した。結果:男性のhigh群はlow群に比べて有意にGrade 3以上の血液毒性が少なかった。単変量・多変量解析ではNAC開始前のPMI値(OR1、p<0.05)がGrade 3以上の血液毒性の独立規定因子であった。結論:食道癌に対するbiweekly-DCFによるNACにおいて、血液毒性の発生率は骨格筋量の低い患者群で有意に高値を示した。骨格筋量が至適抗癌剤投与量としてのマーカーになる可能性がある。(著者抄録)