
松山 勇人
松山 勇人 (Hayato Matsuyama)
更新日: 2024/01/17
基本情報
- 学位
-
獣医学博士(岐阜大学大学院連合獣医学研究科)
- J-GLOBAL ID
- 200901057524725460
- researchmap会員ID
- 5000022876
過敏性腸症候群の病態機構解明および治療薬開発に向けたノックアウト・マウスを用いた基礎研究/消化管平滑筋には、M2とM3の2種類のムスカリン受容体サブタイプが存在し、その収縮は主にM3 サブタイプを介していると考えられている。このため、IBSの治療薬は主にM3サブタイプに比較的選択性の高い薬物が使用されてきた。しかし、M2サブタイプの役割が明確でないことから、本受容体を標的としたIBS治療薬の開発が遅れている。本研究は、消化管におけるコリン作動性神経-平滑筋情報伝達におけるムスカリン受容体サブタイプ(M2とM3)の機能的役割を明らかにし、過敏性腸症候群(IBS)の発生機序の解明および治療薬開発に向けた基礎的情報の提供を目的とした。このために、M2とM3のサブタイプ欠損マウスを用い、ムスカリン受容体作動薬により生じる消化管平滑筋の機械的反応、膜電位変化および膜イオンチャネル電流をワイルドタイプのものと比較・解析した。その結果、次のことが明らかとなった。M2 サブタイプは、百日咳毒素感受性の情報伝達系を介して陽イオンチャネルを活性化し、電位依存性Caチャネル(VDCC)を介するCa流入を増加させ、収縮を誘起する。この陽イオンチャネルを充分に活性化するにはM2とM3の両方の受容体が必要である、M3 サブタイプは、百日咳毒素に耐性の情報伝達系を介してVDCCによるCa流入、VDCCとは異なるチャネルを介するCa流入そして細胞内ストアからのCa放出によって収縮を誘起する、これまで多くの研究でM2の収縮機能が検出できなかったのは、累積適用法を用いていたことに原因がある、などの研究成果を得た。これらの結果から、消化管の収縮の発生には、M3サブタイプだけでなく、M2サブタイプも重要であることを提唱した。本研究結果から、IBSの治療薬としてM2サブタイプを標的分子にするという新たな戦略が考えられる。/マウス膀胱平滑筋の活動電位発生に対する粘膜上皮細胞、神経細胞、カハール細胞の役割/膀胱は、尿を溜めると共に排泄する機能をもつ袋状の臓器である。膀胱の壁は大きく分けて、内腔側より粘膜と平滑筋層から構成されている。粘膜は、尿の貯留によって膀胱に発生する圧力を感知する装置が備わっていると考えられている。一方、平滑筋層は、これを構成している細胞の膜の電気的な興奮に伴って収縮する性質を持っている。この膜の電気的な興奮は、細胞内微小電極を平滑筋細胞に挿入することによって活動電位として記録される。膀胱平滑筋において、これら活動電位は、自発的に絶えず発生している。しかし、このような活動電位の自発的な発生を、何がどのようにして調節しているのか全く分かっていない。粘膜は主に粘膜上皮細胞、神経細胞、カハール細胞から構成されている。このうち、粘膜上皮細胞は、アセチルコリンを放出し、この物質を介して膀胱平滑筋を収縮させていることが知られている。カハール細胞は膀胱以外の内臓器官の消化管において、その膜が神経細胞や平滑筋細胞の膜と部分的に結合していると報告されている。以上のことをふまえ、申請者は粘膜を構成している粘膜上皮細胞、神経細胞もしくはカハール細胞に着目して、膀胱平滑筋細胞における活動電位の発生を調節する仕組みを明らかにすることを思い立った。この研究に用いる動物はマウスが適当であると、申請者は考えている。その理由として、マウスにはカハール細胞やアセチルコリンの受容体を遺伝的に欠損させた系統がすでに確立されているためである。/消化管における感覚神経および一酸化窒素(NO)作動性神経の役割に関する研究/平滑筋の非選択的陽イオンチャネルの分子的実体および活性化機構の解明/脳血管構成細胞間の液性および電気的シグナリングに関する研究/消化管における神経情報伝達に関する研究/ガラス微小電極法,生体試料から放出される一酸化窒素(NO)の測定,生体試料から放出される神経伝達物質のELISAやRIAを用いた測定,マグヌス法や蠕動運動記録法を用いた、血管あるいは消化管運動の記録,神経伝達物質の局在の免疫組織化学法による調査
研究キーワード
42研究分野
10経歴
7-
2015年
-
2002年6月 - 2004年3月
-
2002年
学歴
3-
1998年4月 - 2002年3月
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- 2002年
-
1992年4月 - 1998年3月
論文
42-
American journal of physiology. Cell physiology 2019年12月 査読有り
-
The Journal of veterinary medical science 81(2) 217-228 2019年2月 査読有り
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American journal of physiology. Gastrointestinal and liver physiology 315(4) G618-G630 2018年10月 査読有り
-
The Journal of veterinary medical science 80(9) 1407-1415 2018年9月 査読有り
-
The Journal of endocrinology 237(2) 207-216 2018年5月 査読有り
-
Journal of Pharmacological Sciences 121(3) 227-236 2013年
-
JOURNAL OF VETERINARY MEDICAL SCIENCE 73(4) 453-458 2011年4月
-
BRITISH JOURNAL OF PHARMACOLOGY 158(8) 1874-1883 2009年12月
-
EUROPEAN JOURNAL OF PHARMACOLOGY 599(1-3) 54-57 2008年12月
-
HUMAN PATHOLOGY 39(9) 1406-1407 2008年9月
-
NEUROSCIENCE 155(3) 738-750 2008年8月
-
CELLULAR AND MOLECULAR LIFE SCIENCES 65(2) 295-311 2008年1月
-
GASTROENTEROLOGY 133(4) 1229-1239 2007年10月
-
JOURNAL OF PHYSIOLOGY-LONDON 583(2) 593-609 2007年9月
-
JOURNAL OF NEUROPHYSIOLOGY 97(3) 2024-2031 2007年3月
-
JOURNAL OF PHARMACOLOGICAL SCIENCES 103 206P-206P 2007年
-
Autonomic and Autacoid Pharmacology 26(3) 203-217 2006年7月
MISC
58-
JOURNAL OF VETERINARY MEDICAL SCIENCE 78(2) 203-211 2016年2月
-
NAUNYN-SCHMIEDEBERGS ARCHIVES OF PHARMACOLOGY 387(4) 377-388 2014年4月
-
NEUROGASTROENTEROLOGY AND MOTILITY 25(10) E687-E697 2013年10月
-
Journal of Pharmacological Sciences 121(3) 227-236 2013年
-
JOURNAL OF VETERINARY MEDICAL SCIENCE 73(4) 453-458 2011年4月
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Journal of Veterinary Medical Science 72(4) 443-451 2010年
-
British journal of pharmacology 158(8) 1874-83 2009年12月
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ENVIRONMENTAL TOXICOLOGY AND PHARMACOLOGY 28(1) 70-77 2009年7月
-
EUROPEAN JOURNAL OF PHARMACOLOGY 599(1-3) 54-57 2008年12月
-
Journal of pharmacological sciences 108(3) 248-57 2008年11月
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HUMAN PATHOLOGY 39(9) 1406-1407 2008年9月
-
NEUROSCIENCE 155(3) 738-750 2008年8月
-
CELLULAR AND MOLECULAR LIFE SCIENCES 65(2) 295-311 2008年1月
-
Gastroenterology 133(4) 1229-1239 2007年10月
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JOURNAL OF PHYSIOLOGY-LONDON 583(2) 593-609 2007年9月
-
JOURNAL OF NEUROPHYSIOLOGY 97(3) 2024-2031 2007年3月
-
BRITISH JOURNAL OF PHARMACOLOGY 149(8) 1022-1030 2006年12月
-
Autonomic and Autacoid Pharmacology 26(3) 203-217 2006年7月
-
JOURNAL OF PHARMACOLOGICAL SCIENCES 100(3) 215-226 2006年3月
-
JOURNAL OF UROLOGY 175(1) 370-380 2006年1月
書籍等出版物
5-
2016年3月
-
2003年4月
-
2003年4月
-
Recent Research Development (Research Signpost) 2003年
講演・口頭発表等
26-
第160回日本獣医学会学術集会 2017年
-
第159回日本獣医学会学術集会 2016年
-
第157回日本獣医学会学術集会 2014年
-
第157回日本獣医学会学術集会 2014年
-
第154回日本獣医学会学術集会 2012年
-
第152回日本獣医学会学術集会 2011年
-
第152回日本獣医学会学術集会 2011年
-
第150回日本獣医学会学術集会 2010年
-
第149回日本獣医学会学術集会 2010年
-
日本薬理学会 2010年
-
第51回日本平滑筋学会 2009年
-
第147回日本獣医学会学術集会 2009年
-
日本薬理学会 2009年
担当経験のある科目(授業)
11所属学協会
6共同研究・競争的資金等の研究課題
18-
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 2015年4月 - 2018年3月
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日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 2015年4月 - 2018年3月
-
文部科学省 科学研究費補助金(基盤研究(C)) 基盤研究(C) 2015年 - 2017年
-
2008年10月 - 2009年9月
-
2008年7月
-
文部科学省 科学研究費補助金 若手研究(B) 2004年 - 2005年
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基礎科学研究 2003年 - 2004年
-
その他の研究制度 2002年
社会貢献活動
17