共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2024年3月

医療実践としての人工妊娠中絶の新たなフレイム構築―出生前検査とのかかわりから

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(B)

課題番号
20H04449
体系的課題番号
JP20H04449
配分額
(総額)
10,920,000円
(直接経費)
8,400,000円
(間接経費)
2,520,000円

本研究初年度である2020年度には、まず、中絶の基本的な概念を理解し、現状を把握するために、産婦人科医と人文社会学系の中絶研究者から情報を収集した。産科医療の点から人工妊娠中絶について学ぶために女性の権利や生命倫理に精通している産婦人科医にご講義頂き、続いて、日本の人工妊娠中絶の現状と課題について、特に技術的な面を長年指摘してきた中絶研究者にゼミナールを開催して頂いた。それと共に、WHOの発行している中絶のガイドライン(翻訳本)を各自精読した。また、中絶を希望する妊婦の多くが利用するであろう、産婦人科のHPを調べ、人工妊娠中絶の手技や対応がどのようになされているか、また手術の時期などを調べた。
こうした学びをもとに、本研究で医療者と女性に何を尋ねるべきか、インタビュー項目について検討し、学内の倫理審査を受けた。その間、インタビューデータの質的分析を行うソフトウェアMAXQDAの講習会にも参加した。
倫理審査を通った後、インタビューのリクルートを始め、女性2名、産婦人科医2名、助産師1名にインタビューを行った。女性2名については、いずれもNIPTを受検しており、ひとりは出産する意向があったことから、遺伝カウンセリングは障害のある子どもの療育などについて尋ねたが、満足のいく説明は得られなかった。もう1名は、夫婦の意見に齟齬があったが、結果が陰性だったため、夫婦関係が悪化することはなかった。この2名は、NIPT受検において決して珍しい事例ではない。また、産婦人科医は開業している若手男性医師と、総合病院勤務の女性ベテラン医師という対照的な2名であった。開業医は中絶を中心に、病院勤務の医師は出生前検査を中心に語ったので、比較するのは難しかったが、典型的な事例でもあることから、今後リクルートを進める上で重要だと思われる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H04449
ID情報
  • 課題番号 : 20H04449
  • 体系的課題番号 : JP20H04449

この研究課題の成果一覧

論文

  8

MISC

  3

書籍等出版物

  4

講演・口頭発表等

  16