フェンタニル貼付剤は1回の貼付により,72時間鎮痛効果が持続する製剤である.しかし,一部の患者では,鎮痛効果が72時間持続しないことが報告されている.この理由としては,フェンタニルの吸収,代謝,排泄のいずれかに問題があると考えられるが,血中濃度を測定して検討している報告はほとんどない.今回,われわれは貼付24時間後ごろに疼痛の軽減とともに強い眠気が出現し,60時間後ごろに疼痛の増悪がみられたがん性疼痛患者を経験した.72時間ごとに反復貼付したときの,フェンタニル血中濃度を測定したところ,貼付1時間後0.49ng/ml,25時間後1.35ng/ml,56時間後0.83ng/mlと変動していたことが確認された.そこで2枚のフェンタニル貼付剤を24時間の時間差で48時間ごとに貼付する方法に変更したところ,良好な鎮痛効果と眠気の消失がみられた(著者抄録)