論文

査読有り 筆頭著者
2002年

セントラル・カラハリ・サンにおける社会変容: 人口動態,生業活動,乳幼児の体重の分析から

アフリカ研究
  • 高田 明

60
開始ページ
85
終了ページ
103
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(学術雑誌)
DOI
10.11619/africa1964.2002.85
出版者・発行元
学術雑誌目次速報データベース由来

セントラル・カラハリ・サンとよばれる2つの民族, グイとガナにおいて, 近年の社会変容を人口構造, 生業活動, 乳幼児の体重という3つの側面から記述・分析した。1997年の再定住化政策の実施後, グイやガナの人口密度は急増し, 狩猟採集から供給される食料の質や量は低下した。また生後12カ月児の体重が移住前より低下する傾向があった。これらと関連して多くめ不満が語られている。その一方で, 再定住化政策への対応を反映して, 周辺民族であるカラハリと密接な関係をもつガナでは家畜飼養, 農耕, 賃金労働が盛んになり, 財産を蓄積しつつあるものが多くなっている。こうした経済格差の拡大は, 親族関係に基づく居住集団による住み分けや伝統的生活域へのアクセスが困難になったことに由来すると分析できる。こうしたことから再定住化政策は, 政府の大勢を支配するツワナ社会との関係やグイとガナの間の差異を際立たせることで民族アイデンティティを顕著に意識させる方向に機能してきていると考えられる。これらはサンの社会化に関する議論でも, 育児の多様性とその規定因を明確にしていくこと, 国家や他民族との関係を理論的な射程に含めることの必要性を示唆している。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.11619/africa1964.2002.85
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/110000105638
CiNii Books
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN0001203X
URL
http://id.ndl.go.jp/bib/6150016
URL
https://jlc.jst.go.jp/DN/JALC/00361965680?from=CiNii
ID情報
  • DOI : 10.11619/africa1964.2002.85
  • ISSN : 0065-4140
  • CiNii Articles ID : 110000105638
  • CiNii Books ID : AN0001203X

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