共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2022年3月

セルロースのオンデマンド人工合成に向けた結晶化過程の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K06142
体系的課題番号
JP18K06142
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

研究計画通りに無細胞合成系を用いたセルロース合成酵素の発現系を立ち上げている。異なる生物種に由来する細胞抽出液を用いて条件検討を重ねた結果、150-200kDaの比較的大きいサイズのセルロース合成酵素を発現できる条件を見出した。発現対象であるセルロース合成酵素についても、最新のゲノム情報を対象としたオーソログ解析を通じて、やはり動物界においては被嚢動物のみがセルロース合成酵素を有することを報告した。無細胞合成に際して、適当なタグ配列をセルロース合成酵素に加えることに作業上の多くの利点がある。そこで、各種タグを用いて、合成やアフィニティ精製に与える影響をウェスタンブロットで評価・検討したところ、それぞれの抽出液にはそれぞれ使い勝手の良いタグ種が存在することがわかった。セルロース合成酵素は膜タンパク質であるため、適当な疎水性環境が存在しない限り、無細胞合成された直後にアグリゲーションを起こして沈殿となる。そこで次に、合成されたセルロース合成酵素が機能的な状態にフォールディングするために適当な疎水性環境を見いだすことを目的として、無細胞反応液中に人工的な疎水性環境を組み込み、反応後に超遠心分離あるいは密度勾配分離を行い、疎水性環境への取り込み具合を評価した。各種脂質を用いて調製したリポソームや、脂質と各種界面活性剤で構成される混合ミセルは、無細胞合成反応そのものを阻害することが多かったが、いくつかの条件においては、少なくともウェスタンブロット系においてはさほど阻害せず、かつ合成産物の7割程度が脂質環境に取り込まれることがわかった。この様に、無細胞合成に大切な要素である細胞抽出液・セルロース合成酵素・脂質環境の検討を進めたことにより、今後の計画推進が加速するものと思われる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K06142
ID情報
  • 課題番号 : 18K06142
  • 体系的課題番号 : JP18K06142