2015年2月20日
「夏目漱石『こころ』「中・両親と私」・消滅する〈書き手〉の行方」
『國學院大學教育学研究室紀要』
- 巻
- 号
- 第49号
- 開始ページ
- 51
- 終了ページ
- 60
- 出版者・発行元
- 國學院大學教育学研究室
同誌の第47号に掲載した夏目漱石『こころ』論に継続する論考である。『こころ』の物語行為上の大きな特徴は、その上・中の2章が書き手「私」の回想によって記述されるというところにあるが、前回に引き続き、「中」における「私」の回想と書いている現在との混交状態を分析し、いよいよ回想の核心部に記述が迫っていく直前に、書き手自身が記述行為そのものを放棄してしまう経緯を考察した試みである。