共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2022年3月

プラトンによる魂の原的把握についての問答法的・国際的研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K00004
体系的課題番号
JP18K00004
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

台北、北京での学会で、プラトン『国家』第7巻における、教育と関連した強制について発表した。強制が、初めは本人の意に反してという意味だったのが、やがて「魂の目」の下降傾向に反してという意味になると論じた。強制されるのは各人ではないという点も指摘した。
第11回国際プラトン学会大会での発表論文が選抜論文集に採択され公刊された。『パイドン』における魂不滅最終論証の大詰めで、対話相手ケべスの応答が、魂の不死性と永遠性の関係についての謎めいた理解を含意していることを指摘し、背景にある考えを推測した。魂は自らによって生命をもたらされているがゆえにその生命供給は絶えることがない、という考えである。ケべスのこの考えと、『パイドロス』におけるソクラテスの魂不死論証とがともにアルクマイオンの考えと繋がっている可能性を示唆した。
単著『マクダウェルの倫理学――『徳と理性』を読む』を勁草書房から刊行した。マクダウェルの難解な倫理学的議論(アリストテレスら古代ギリシャの洞察の復権をもくろむ)をわかりやすく解説しようと試みた。解説とはいっても筆者自身の、ときに立ち入った諸見解を示しており、マクダウェルの論敵であるブラックバーンと筆者との応酬をも収めている。徳を<そのつどの状況からいかなる行為を要求されているかを見て取る能力>と捉えるマクダウェルの立場が有望であることを示そうとした。その立場は、合理性をめぐる近現代的偏見(人間の実践の合理性は当の実践に外在的な視点から正当化できなければならないとする)の鋭い批判と軌を一にしている。
論文「浮気されれば気付かなくてもその分不幸になるか――という問いをきめこまかくする――」を『思索』に発表した。幸福は経験に他ならないとする立場に批判的な方向を取りながらも、ある人の幸福いかんをその人自身の幸福観(経験主義や反経験主義)にある程度まで相対化しうることを提唱した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K00004
ID情報
  • 課題番号 : 18K00004
  • 体系的課題番号 : JP18K00004

この研究課題の成果一覧

講演・口頭発表等

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学術貢献活動

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