その他

2007年4月 - 2007年4月

次世代生命体統合シミュレーションソフトウェアの研究開発(粒子法など離散的手法による微小循環系シミュレータの開発)


生体で起こる種々の現象を理解し医療に結びつけるため、基礎方程式に基づく解析的アプローチと大量の実験データから未知の経路と法則に迫る実験的アプローチの二つを同時に進めることで、ペタスケールという桁違いの性能を持つスーパーコンピュータの性能をフルに発揮できるソフトウェアを開発する。従来の計算機性能では不可能であった規模で計算することで、生体現象の深い理解と新たな発見を目指すと同時に、医薬品や医療機器、診断や手術方法の開発に繋げる。
解析的アプローチでは分子・細胞・臓器/全身という三つのスケールの研究開発チームをおき、それぞれのスケールで、空間と時間の4次元の状態量として記述する方程式に基づき、シミュレーションするソフトウェアの開発を行う。この時、それぞれの隣り合うスケール間をつなぐモデル化も同時に研究開発することで、ナノ・スケールからメートル・スケールまでのマルチスケール化を図る。実験的アプローチでは、近年飛躍的に増大するジーンチップやハイスループットなどの実験計測で得られるデータを使い、方程式が未知の現象について、データ同化技術によるデータ駆動型の大規模データ解析及びシミュレーション技術を開発し、ペタスケールデータ解析とシミュレーションの融合に基づく、個人差を考慮した投薬量・最適投与プロセスなどの開発、タンパク質構造や大規模遺伝子ネットワーク推定による創薬ターゲット・毒性関与パスウェイ探索等で役立てる。また、神経細胞から局所回路網、脳全体にわたるシミュレーションを連結し、スケールを超えたシミュレーション技術を開発し、脳神経系機能の解明等につなげる。さらに、次世代スーパーコンピュータ上での高速・高効率なシミュレーションの実現に向け、数値アルゴリズムや並列計算技術、データ分析や可視化技術など、多方面にわたる統合的な支援を行うための技術開発を行う。
また、当該研究開発を通じて、次世代計算科学を担う人材を育成する。
このため、独立行政法人理化学研究所、公立大学法人横浜市立大学、国立大学法人大阪大学、国立大学法人東京大学、国立大学法人京都大学、学校法人東海大学、国立大学法人神戸大学、学校法人慶應義塾、国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学、国立大学法人千葉大学、国立大学法人東北大学、国立大学法人広島大学、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構、国立大学法人東京工業大学、学校法人立命館立命館大学と共同で実施する。
国立大学法人東北大学では、粒子法など離散的手法による微小循環系シミュレータの開発(臓器全身スケールワーキンググループ)に関わる研究開発を実施する。