共同研究・競争的資金等の研究課題

2016年4月 - 2020年3月

構造相転移を伴う非線形自由境界問題における形態変化する安定構造の研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)
  • 白川 健

課題番号
16K05224
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

本研究の主題は多結晶体における構造相転移を伴う自由境界の数学解析であり、平成30年度での達成目標は、考察する数学モデルに対する制御問題を構築する事であった。この目標に対し、当該年度では大きく以下三点を、得られた成果として挙げる事ができる。
一点目は、結晶粒界の数学モデルにおいて、数学モデルの線形化システムおよびその双対システムを明らかにし、それらの可解性および連続依存性等の基本性質を数学理論によって示した点である。この研究成果により、温度変化を制御とする最適制御問題の解(最適制御)の存在が保証できただけでなく、最適制御の効率的な数値計算を可能とする数値計算アルゴリズムの構築に対しても、研究の展望を大きく開く事ができた。
二点目は、構造相転移をエネルギーの形態変化として捉えた仮似変分不等式による数学モデルを新たに提案し、提案モデルの基本性質に関して考察を与えた点である。現時点では、より一般的な枠組みでの考察が課題として残るものの、この研究成果により構造相転移を伴う自由境界問題において、観測データからエネルギーの形態を推定する逆問題的なアプローチも今後の研究の視野に入れる事が可能となった。
三点目は、先述の結晶粒界モデルにおいて「結晶構造解」という結晶の物理的特性と関連性が強い解のクラスを独自に設定し、結晶構造解の支配方程式を明らかにする事によって、難航していた解の一意性の成立条件を明らかにした点である。一意性に関しては、数学モデルの主要部を有限次元空間上の発展方程式によって単純化できた点が成功の主な要因であり、この成果をもとに結晶構造解に対する制御理論や数値計算に対しても従来より簡潔かつ効率的な解析法が開発できるのではないかと、今後の展開に大いに期待を寄せている。