2020年7月 - 2023年3月
唾液分泌障害における唾液腺幹細胞の機能制御メカニズムの解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽) 挑戦的研究(萌芽)
前年度の予備的検討により、マウス顎下腺細胞の分散方法が確立されたので、本年度は確立された細胞分散方法を用いて、老齢マウスから採取した顎下腺のscRNAseq解析を行った。すなわち、80週齢の雄性C57B/L6マウスから顎下腺を採取し、milteny gentleMACS Octo Dissociatorを使用し細胞を分散化した。次に10X Genomics Chromium Single Cell 3′ Libray & Gel Bead Kit v2システムを使用して、個別の細胞に対してゲルビーズエマルジョンを作製しcDNAの合成、精製、増幅を行い、最終的に増幅されたライブラリーをIllumina NextSeq 50を用いてシークエンス解析した。さらに、得られデータをCell Ranger(10X Genomics)で詳細に解析した。すなわち、tSNE解析により細胞をクラスターに分類し、既知のマーカー遺伝子、すなわち、幹細胞マーカ(胎生期);CK5, c-Kit, 筋上皮マーカー;Acta2, Myh11 基底細胞マーカー;Krt5,14、導管細胞マーカー; Krt7, 8, 18、腺房細胞マーカー; Aqp5の発現を参考に個別のクラスターを構成する細胞の細胞系譜を決定した。さらに、violin plotにより個別のクラスターにおける特異的遺伝子発現量が詳細に比較検討された。これらの解析結果により、tSNE解析において構成されるクラスターの大部分が上皮系の細胞集団より構成されていることが明らかとなった。一方、Acta2やMyh11陽性の筋上皮細胞分画が検出されず、構成されたクラスターに偏りが生じていることが明らかとなり、この原因について現在解析を行っている。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K21688
- 体系的課題番号 : JP20K21688