共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2023年3月

景気に左右されない頑健な資産運用手法の構築

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K01694
体系的番号
JP18K01694
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

資産運用を安定化するための基本的な考え方は前提となるモデルに対する信頼度に応じて最悪なシナリオを想定することである。そのシナリオの中でできる限り収益を改善する戦略を練るのである。
この考えに基づきすでに無限期間の投資を行う場合の最適戦略の構築には成功していたが、2018年度はさらに有限期間に制限した最適戦略の構築を試みた。生命保険や年金のように定期的な報告義務がある資産運用の場合、投資期間を有限期間に制約することは有用だからである。
その結果、理論的な成果として有限期間に投資期間を制限した場合でも最適戦略を導出することに成功した。ところが、有限期間に投資期間を制限した場合、最適解を得るのにラプラス変換が必要となることが明らかになった。これにより、最適戦略を数値的に計算することは無限期間に比べると難しくなることがわかった。
現在はこの方法を用いた数値シミュレーションを中心に研究を進めている。具体的には、ダウ・ジョーンズ工業株平均の組成銘柄を用いて、無限期間における資産運用、有限期間における資産運用、そして有限期間かつモデル・リスクを勘案した資産運用の三つの方針による運用を4 半期ベースでシミュレーションし、運用成績の比較を行った。いくぶん近似を入れた形ではあるが、現在のところ有限期間かつモデル・リスクを勘案した資産運用がほかの運用手法に比べて安定した成績を上げることが確認できている。
ところで、ラプラス変換を用いることにより数値計算は難しくなるが有用性もある。最適戦略を明示的に与えることができるため経済学的解釈が容易になるからである。ただし、若干複雑な計算を要するため、数値計算を検証する必要はある。そこで、計算には時間を要するが直接的な手法としてモンテカルロ法を用いた数値計算を行いこれと比較することでラプラス変換による明示解のおおよその妥当性の確認も行った。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K01694
ID情報
  • 課題番号 : 18K01694
  • 体系的番号 : JP18K01694