2020年4月 - 2024年3月
ポスト農業社会の食・農・自然に視点をおいた農業社会学の構築
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
本研究の目的は、食・農・自然という3つの視点から、ポスト農業社会の農村生活に照応する農業社会学の構築を目指すことにある。研究初年度にあたる2020年には、研究実施計画にそって、フィールド調査と研究会とのサイクル確立を念頭において調査研究を進めた。その際、コロナ感染症の拡大という状況下における効率的な研究を進めるために、オンライン形式の研究会の導入を試みた。調査研究では、①食・農・環境からみた農業近代化政策の評価、②販売農家の農業および自給的農業と消費者との関係、③食と農、環境をいかす村づくりの計画手法という3つのコアとなるプロジェクトについて、研究会を実施した。研究会では、①個人の行動、②農家・農村・女性の活動、③生活組織化の様相、④物的対象(自然環境等)への働きかけ、⑤経済活動と 消費者との関係の5アスペクトについて、それぞれのフィールドで調査によって得た情報を共有するとともに、研究のまとめ方についても確認した。さらに、九州大分県山村での現地研究会およびヒアリングを行い、具体的な調査計画について地元村落の代表者との調整を行った。地元との調整では、集落の寄り合いにも参加し、調査計画立案に必要な情報を収集した。そのなかで、共有山林の利用と保全(自然環境)、さらに地域防災の2点が、現代山村における重要な生活課題であることに改めて気付かされた。そこで、調査研究を補強するために、農業のレガシーともいうべき、都市近郊の里山の共同管理についての現地調査、2020年7月の豪雨災害により多くの犠牲者を出した球磨川流域農山村の被害実態についての現地調査を実施し、それぞれ調査報告書を作成した。
- ID情報
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- 課題番号 : 20H01575
- 体系的課題番号 : JP20H01575