2014年3月22日
エコヘルスという視点 Vol.1 エコヘルス:健康転換後の健康像
医学のあゆみ
- ,
- 巻
- 248
- 号
- 12
- 開始ページ
- 919
- 終了ページ
- 925
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 医歯薬出版(株)
本連載では21世紀における新しい健康概念になるであろう"エコヘルス"について紹介する。近代においては、社会の発展とともに近代科学の一部としての医学とそれに依拠した近代医療が発展した。医学・医療の発展と並行して、近代以前の儒教的な"養生"に代わって、客観的・科学的・普遍的な"健康"概念が導入された。健康概念の導入は医学・医療によって病気を予防・治療し、健康を増進させるという方法を社会に定着させ、その方法によって健康転換と人工転換(「サイドメモ」参照)が推進された。その結果、日本をはじめとした先進諸国では多くの人が長寿を謳歌できるようになった。しかし、健康転換が進むと医療による健康改善の効果は逓減し、医療費が高騰し、その持続可能性が疑問視されだした。先進国と発展途上国、富者と貧者の健康格差も縮まらず、先進国モデルが途上国に馴染まないことも明らかになった。また、地球規模の環境破壊は人びとの生存を脅かすまでになった。そこで健康転換後の21世紀には健康観そのものを見直す必要が生じた。そのひとつの候補が環境・社会・健康を一体としてとらえるエコヘルスである。エコヘルス概念の深化は21世紀における世界観の構築にも寄与するであろう。エコヘルスの特徴は、(1)医学を中心にしながらも他領域を広範に統合するアプローチの重視、(2)地域ごと、生態系ごとの健康の多様性の重視、(3)その多様性を包括した地球レベルの統合の重視の3点に要約される。本連載ではその紹介をしたうえで、さまざまな学問領域の専門家にエコヘルス研究の可能性を語ってもらう予定である。(著者抄録)
- リンク情報
- ID情報
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- ISSN : 0039-2359
- 医中誌Web ID : 2014127423
- J-Global ID : 201402275821154988