共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

内側側頭葉ー前頭前野のスパイキングニューラルネットワークモデルに関する研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K11974
体系的課題番号
JP20K11974
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

本研究では、嗅周皮質―嗅内皮質―海馬モデルと前頭前野モデルを組み合わせて、移動ロボットが経験した空間情報を認知地図として蓄積し、行動計画の学習に活用する仕組みを提案することである。提案ネットワークモデルにより、空間探索課題を学習するシミュレーションを行った。いずれも積分発火ニューロンで構成した。
空間課題の学習により通過した経路の場所細胞が神経活動を繰り返す海馬リプレイと呼ばれる現象が生じる。空間課題として、まず直線通路を走るシミュレーションにより、海馬リプレイが起こる仕組みの詳細な評価を行った。提案モデルにおいては、探索行動により、場所細胞間にフィードフォワード結合構造が形成され、 海馬リプレイが生じる。同時に、場所受容野が進行方向と逆方向に延びて歪むバックワードシフトが生じた。これらは同じ構造のニューラルネットワークから生じるが神経修飾物質の濃度レベルの違いよりいずれか一方が顕在化させられることを確認した。さらに、提案モデルをモリスの水迷路様課題に適用し、スタート地点からゴール地点までたどる最適な経路を学習できることを確認した。このとき、場所受容野の歪みが学習に寄与することを示唆する結果を得た。
外界の情報を提案モデルに取り入れるため、オブジェクトベクトル細胞とランドマークベクトル細胞を導入した。いずれも空間内のオブジェクトの方向と距離に応じて反応する細胞である。特に、ランドマーク細胞は特定のオブジェクトに反応する。まず、他者のいる観察交替迷路課題において、オブジェクトベクトル細胞を取り入れ、他者をオブジェクトとみなすことで課題が学習できることを確認した。また、頭方位と移動速度を経路積分で場所を求める場合、移動距離が延びるに従い誤差が蓄積する。これを補正するため、ランドマーク細胞の出力を格子細胞にフィードバックすることで誤差の蓄積を軽減する仕組みを導入した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K11974
ID情報
  • 課題番号 : 20K11974
  • 体系的課題番号 : JP20K11974

この研究課題の成果一覧

論文

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